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高野竜神国定公園
【こうやりゅうじんこくていこうえん】


和歌山・奈良両県にまたがる国定公園。昭和42年3月23日指定。面積1万9,213ha,うち県内は1万4,042ha。すでに昭和31年11月1日和歌山県立高野竜神森林公園として1万3,045haを指定,国定公園昇格の時に奈良県域にも拡張した。県内では伊都(いと)郡高野町・花園村,有田(ありだ)郡清水町,日高郡龍神村にまたがる。特別保護地区52.5ha(高野山北斜面)。紀伊山地中央部に大峰山系と並んで南北に走る紀伊大和山脈の稜線に沿い,高野山から護摩壇山を経て日高川上流の竜神温泉に至り,紀ノ川・有田川・日高川・十津川の源流部に当たる。山岳自然景観と山岳宗教景観が重複する公園である。高野山は約900mの山頂に前輪廻の平坦面を残し,紀伊山地の生成を物語る隆起準平原である。この高位平坦面上に現在100余の寺坊と5,000人余の人口が密集した高野山の宗教集落がある。全国的にも珍しい高地密集集落で,しかも弘仁7年弘法大師空海によって真言密教の道場として創建された人為的集落でもある。全国から参詣納骨の人々が集まり,奥院参道の大杉林(県天然記念物)の中に1万2,000余の墓石群を残している。明治まで続いた女人禁制の名残も,苅萱堂や女人堂にしのばれる。総本山金剛峯寺(境内,国史跡),根本大塔を中心とする伽藍・大門・奥院大師廟・霊宝館など代表的施設に加え,庭園・建築・仏像・仏画など国指定文化財約200件を数える。高所のため冬の寒さは厳しいが,夏は涼しいため林間学校など年200万余の参詣者の大半が集中する。周囲の山林は六木(マツ・スギ・マキ・ヒノキ・モミ・ツガ)として保護されてきた美林で,保安林が多く,寺有と国有に分かれるが,北側に高野槙純林(特別保護区,県天然記念物)が残る。高野山から護摩壇山を経て竜神温泉に至るスカイラインは,高野七口の竜神口登山路に沿い,昭和41年林道並用で開通,同55年42.7kmを改修,同57年国道371号に指定された。ブナを主とする自然林を貫き当公園のメーンルートとなっている。護摩壇山は県内最高峰で日高川が源を発する。修験道にかかわる山名は,近くの立里荒神や日光社に通じ,また平維盛など落人伝説も付近に濃密に分布する秘境である。日高川上流の渓谷に湧く竜神温泉も役行者や弘法大師など山岳宗教との因縁が伝えられ,和歌山藩主が湯治を志したとする御殿の名称の宿もある秘湯である。泉質は重曹泉で47℃,胃腸病や皮膚病に良いとされる。近くに天誅組残党が幽閉された天誅倉(県史跡)がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7171523