100辞書・辞典一括検索

JLogos

29

志古炭鉱
【しこたんこう】


東牟婁(ひがしむろ)郡熊野川町にあった炭鉱。熊野川町日足の志古から志古谷川をさかのぼった所に位置する。付近には,良質の無煙炭を産出し,当炭鉱を中心として松沢炭鉱・宮井炭鉱などがあり,それらを総称して熊野炭田といった。熊野炭田の歴史は,明治2年に発見されたのが最初であると「旧県誌」にある。明治4年に高知藩の九十九商会が採掘を始めたが,販路がなく廃坑となった。その後,同20年に良鉱社が,同24年には松沢炭鉱が操業を開始し,しだいに盛んになった。同30年代には当炭鉱を中心に18鉱が開発されていたが,技術的・資金的なことが主な原因で,1年から数年で廃坑になるものが多かった。第2次大戦後まで操業を続けたのは,志古炭鉱・松沢炭鉱・尾頭(おがしら)炭鉱・宮井炭鉱・薬師炭鉱(三重県紀和町)の5炭鉱のみであった。昭和38年に松沢炭鉱が閉山して熊野炭田の歴史は終わった。熊野炭田の最盛期の昭和20年ごろには,従業者2,000数百名,月産約1万tを産出した。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7171803