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周参見港
【すさみこう】


西牟婁(にしむろ)郡すさみ町にある第2種漁港(昭和26年指定)。リアス式海岸の入江を有し,港の入口稲積島が防波堤の役割を果たすので,帆船時代から風待港,避難港として利用された。国鉄紀勢本線の開通までは地方の商港としてもにぎわった。貨客輸送の汽船の寄港は,明治21年の熱田共立汽船が初めてである。その後汽船会社の競合が続いたが,昭和11年の紀勢西線(国鉄紀勢本線)の開通によって貨客量は激減し,同13年7月の大阪商船の紀州航路の廃止によって商港としての機能はまったく失われた。それまでは木炭や木材が阪神方面に運ばれ,帰り船からは米や酒などが陸揚げされていたが,以後は漁港として利用されることとなった。ここの中心的漁業,ケンケン釣り,引き縄釣りは,10t未満の小型漁船に1人で乗る一本釣り漁法で,ハワイへの移民が大正期に帰国の際に持ち帰った漁法である。当港の水揚量は年間約1,000t余で,カツオ・イカ類が全体の約7割を占める。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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