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瀬戸内海国立公園
【せとないかいこくりつこうえん】


瀬戸内海沿岸のほぼ全域,9県にまたがる国立公園。昭和9年3月16日雲仙・霧島両公園と同時に日本で最初に国立公園に指定された。その後新和歌浦・宮島・鳴門・六甲などの地域の追加により,現在の面積は6万2,915ha。うち県内地区は,同25年5月18日追加指定の新和歌浦・雑賀崎(さいかざき)地区93haと,同31年5月1日追加指定の加太・友ケ島地区433.3ha(昭和38年3月9日追加分を含む)で,全域特別地域であり,和歌山市に含まれる。新和歌浦・雑賀崎地区は竜門山系の西端で,地層は古生層の結晶片岩からなる。雑賀崎などに海成段丘の隆起地形が見られるが,海岸は複雑に出入し,海食崖と双子島などの岩礁が沈降海岸の特徴も示している。これに対し加太・友ケ島は和泉山脈の西端が海に沈み,淡路島(兵庫県)の諭鶴羽(ゆづるは)山脈に続く残存部で,中世層の和泉砂岩からなる。万葉の歌枕として知られた和歌浦(市風致公園)の西に接する雑賀山が海に沈む一帯を新和歌浦という。和歌山市街から紀淡海峡を展望する雑賀山とその海食地形,入江の漁村風景を対象に,大正初年から観光地として開発が進み,旅館街のほかロープウエー・展望台・海浜遊歩道などがある。加太は紀淡海峡に臨む古代南海道の駅で,淡路への港として栄えてきた。明治期以後海峡に浮かぶ友ケ島とともに軍事要塞であったが,昭和36年国民休暇村指定を受け,城ケ崎と深山(みやま)に国民宿舎,遊園地が造られた。沖ノ島と地ノ島からなる友ケ島は,和泉山脈に続く修験の行場で,その遺跡もあり,また要塞跡も残されている。沖ノ島深蛇池には湿地帯植物群落(県天然記念物)が見られる。沖ノ島へは加太港から便船が通い,夏にはキャンプ場・海水浴場となり,宿泊施設もある。地ノ島は無人島で便船はない。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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