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津久野港
【つくのこう】


日高郡日高町にある第1種漁港。小浦崎と兜崎に包まれた小浦湾の南岸に位置する。江戸末期から明治期にかけて津久野浦の地引網は盛大を極めた。この浦の塩崎家は網元であったばかりでなく,近くの漁村にも網株をもつ有力家であり,津久野浦で唯一の地主であった。津久野浦にはイワシ網(大・小各1統)・スズ網(大・小各1統)・ジャコ網1統があったが,すべて塩崎網である。藩政期には千石船やしば船の寄港地としてかなりのにぎわいをみせた。現在10戸を数えるに過ぎないが,天保10年の戸数は42。明治期から移民により次第に減り,明治14年20戸,大正3年には11戸となった。このようななかで網漁夫の確保を図るため,農村集落から若衆を雇用し,選ばれた者は家屋・田畑を貸与され小作をしながら網子として働く者もいた。現在,10戸のうち4戸まではこうした若衆の子孫である。現在の漁業種別着業統数は一本釣り3,磯建網3,地引網3。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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