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国道
【こくどう】


 国道9号 京都市から山口県下関市に至る一般国道。延長65万9,400mのうち,県内部分は13万7,800m。京都市下京区大阪町を起点として,亀岡・福知山・和田山と進み,温泉町千谷(兵庫県)より蒲生(がもう)トンネルを経て本県岩美郡岩美町塩谷に入る。岩井バイパス・駟馳山(しちやま)峠・福部村と進み,砂丘バイパス・鳥取バイパスを経て白兎(はくと)へ達する。水尻バイパスから気高(けたか)町・長尾坂を越え青谷町に着く。因幡(いなば)・伯耆(ほうき)の国境をすぎて泊村・羽合(はわい)町に達し,天神橋を渡り北条町・大栄町と進み。東伯(とうはく)町より赤碕(あかさき)町を経て中山町・名和町・大山(だいせん)町と進み淀町を経て日野橋を渡り米子市に達する。市街を通り抜け同市陰田町より島根県に出る。松江・浜田・益田・山口の各市を通り小郡にて国道2号に合し,それを重用しつつ終点の下関市竹崎町に至る。中国半島の日本海側を縦断するこの9号は,古くからの山陰道に沿っており,県内で見れば,伯耆往来(鳥取往来)の道筋に当たる。昭和31年より全面改修に入り,同42年工費約180億円で第1次改築が完了。ついで各地がバイパス化され,現在米子バイパスを建設中。県東部は地形が複雑であるためカーブも多くトンネルも7を数えるが,平坦な中・西部にあってはそれが全然ない。経過地には山陰海岸国立公園の景勝地,鳥取大砂丘の中を通り,湖山長者の日招き伝説で知られる湖山池,いなばの白うさぎの白兎海岸,貝がら節の故郷浜村海岸,三朝東郷湖県立公園,大山隠岐国立公園の主峰大山の威容,美保湾の彼方に浮かぶ隠岐島,米子城跡と中海など,見るべき所が多い。全線建設省の直轄管理。 国道29号 兵庫県姫路市から鳥取市に至る一般国道。延長12万200mのうち,県内部分は4万7,300m。姫路市青山を起点とし,林田・山崎と進み波賀町戸倉より戸倉トンネル(鳥取口標高774.8m,延長742m)を経て本県八頭(やず)郡若桜(わかさ)町落折に入る。岩屋堂・若桜(以上若桜町)と進み,日田・北山・安井(以上同郡八東(はつとう)町)・花・郡家(こおげ)・堀越(以上同郡郡家町)を経て桂木・雲山・吉方町・県庁前で国道53号に接し,湯所・青葉町3丁目(以上鳥取市)まで。終点で国道9号に合す。藩政期には若桜街道・播州街道と呼ばれた道筋にほぼ沿っている。古くは羽柴秀吉もこの道を経て鳥取攻めを行ったとある。明治期に入って,米子・鳥取・若桜が県の最重要路線と目されたことと地元有志の大運動により,同16年改修に着手し,同19年開道式を行っている。しかし急峻な地形と1,000m近い戸倉峠は近代の自動車交通の発達に大きな障害となるため,本格的な改修に着手し,昭和30年には戸倉トンネルも開通し,同41年工費約26.6億円で第1次改築完了,全線舗装の近代的な道路へと生まれ変わった。同41年より米子~大阪間の定期特急バスが通る。県東部と神戸・姫路を結ぶ重要な路線。全線建設省の直轄管理。 国道53号 岡山市から鳥取市に至る一般国道。延長13万6,300mのうち,県内部分は4万4,400m。岡山市中央町を起点として建部・津山と進み奈義町馬桑(岡山県)より黒尾トンネル(鳥取口標高560.6m,延長843m)を経て本県八頭(やず)郡智頭(ちず)町奥本に入る。早瀬へとくだり智頭で国道373号に接す。智頭トンネル(以上智頭町)を経て川中・金屋・用瀬(もちがせ)・鷹狩(以上用瀬町)と進み釜口・河原(以上河原町)より円通寺・叶・吉成を経て鳥取市街に入る。主要地方道鳥取停車場線と接する駅前通り交差点からは市内一の目抜通りである本通り・若桜(わかさ)街道を経て県庁前(以上鳥取市)まで。県庁前で国道29号に合する。この間,智頭・鳥取間は藩政期の参勤交代路である上方往来(智頭街道)の道筋に,智頭~黒尾峠間は津山往来の道筋に当たる。この黒尾峠が最大の難所で,一雨降れば不通,冬期は通行不能であった。昭和40年代に入り峠の全面改修が始まり,以前の谷沿いの道を廃し,尾根と尾根を結ぶ8本の永久橋と黒尾トンネルなど2本のトンネルを配した新国道として同44年に開通。これと期を同じくして,岡山県側も道路改修が完了した。これによって鳥取・津山・岡山と結ぶ陰陽連絡道が完成し,産業・観光に大きな役割を果たすことになった。同46年工費約40億円で第1次改築完了。路線が鳥取市の中心街を縦断することが,市内の交通混雑の原因となっているので,叶付近より千代(せんだい)川左岸に渡り郊外の南隈付近で国道9号に結ぶ,鳥取南バイパスの工事が進行中である。全線建設省の直轄管理。 国道178号 京都府舞鶴市から岩美郡岩美町に至る一般国道。延長15万5,876mのうち,県内部分は1万1,547m。舞鶴市魚屋を起点として日本海沿いに西進し,浜坂町居組(兵庫県)より七坂八峠を経て本県岩美郡岩美町陸上(くがみ)に入る。これより小羽尾・牧谷・浦富と進み,岩本・大谷(以上岩美町)まで。大谷の駟馳山(しちやま)峠東側で国道9号に合する。経過地のほとんどが山陰海岸国立公園の地域内で豪快な海岸美の連続であり,陸上・浦富・羽尾・牧谷の海岸は県内屈指の海水浴場として,遠く京阪神からも訪れる人が多く大変なにぎわいを見せる。岩本では浦富海岸巡りの遊覧船が就航している。現在陸上バイパスの工事中である。 国道179号 兵庫県姫路市から東伯(とうはく)郡羽合(はわい)町に至る一般国道。延長15万8,664mのうち,県内部分は3万1,188m。姫路市青山を起点として,上斎原村天王(岡山県)より人形トンネルを経て本県東伯郡三朝(みささ)町栗祖(くりそ)に入る。木地山・穴鴨・若山(以上三朝町)と進み,円谷・駄経寺を経て竹田橋を渡り,上井(あげい)町・福庭(以上倉吉市)を経て田後(たじり)まで。田後で国道9号に合する。人形峠から倉吉に至る道筋は,明治35~6年頃改修が進められ,当時運行されていた,岡山~津山間の私鉄へつながる道路として利用された。しかし陰陽連絡鉄道が開通してからは衰微の一途を辿った。昭和30年頃,人形峠付近でウラン鉱床が発見されて以来道路改修が進められてきたが,標高735mの峠は冬期の交通を至難とした。同56年10月開通した人形トンネルはこの問題を一挙に解決した。中国自動車道と県中部を結ぶ重要路線として,利用度が高まり,県側の全面改修が進められている。 国道180号 岡山市から島根県松江市に至る一般国道。延長20万1,792mのうち,県内実延長6万465m。他に重用部分2,888m。岡山市大雲寺を起点として,新見市花山から明地(あけち)トンネルを経て本県に入る。門谷・濁谷(にごたに)を経て,高尾(こお)・野田間は国道181号を重用し,黒坂・福長と進み菅沢ダム(以上日野町)より五輪峠を越え,法勝寺(西伯(さいはく)町)を経て米子市に至り,国道181号を重用し同市富士見町2丁目で国道9号と合する。以後国道9号を重用し,同市陰田町を経て島根県に出,松江市雑賀町まで。現国道181号完成まで高尾~米子間が,国道180号であった。国道180号の名は明地峠の整備される以前から道路地図上に記載されていて,多くの利用者が峠の下まで辿りついて通行の不能を知るなどの挿話が絶えず,昭和49年明地トンネルの開通までは,幻の国道の異名をとっていた。 国道181号 岡山県津山市から米子市に至る一般国道。延長10万1,417mのうち,県内部分は4万1,342m,他に重用部分1,739m。津山市一方院庄を起点として,岡山県新庄村より,四十曲トンネルを経て本県の日野郡日野町峠根(たわね)に入る。板井原・高尾と進み野田までは国道180号と重用,根雨(ねう)に至る。さらに江尾(以上日野町)・溝口(溝口町)・岸本(岸本町)と進み福市を経て糀町2丁目に至り,国道180号を重用し595m進み,富士見町2丁目(以上米子市)まで。ここで国道9号に合する。この路線は藩政期には出雲街道と呼ばれ,石見・出雲(島根県)・西伯耆(にしほうき)から上方へ向かう往来として栄えた。松江侯の参勤交代路として整備されていて大名往来ともいわれていた。明治15,6年頃から改修が行われ,ほぼ現在の道筋ができあがった。同30年代,岡山~津山間の鉄道が開通したことにより,それと結ぶ道として利用されたが,昭和3年伯備(はくび)線の開通によって一挙にさびれることになる。しかし近年の自動車交通の発達に伴い,最大の難所であった四十曲峠直下をトンネル化するなどの改修が進んだ。県西部・島根県東部と中国自動車道を結ぶ道路として見直され,最近急速に利用度が高まっている。 国道183号 広島市から日野郡日野町に至る一般国道。延長19万7,460mのうち,県内部分は2万4,356m。広島市大手町4丁目を起点として,西城町三坂より鍵掛(かつかけ)峠を経て本県日野郡日南町新屋に入る。矢戸・生山(以上日南町)と進み福長(日野町)まで。福長で国道180号と合する。県境付近は比婆道後帝釈国定公園,生山・福長付近は奥日野県立公園の地域内で,景観にすぐれている。藩政期から備後街道と呼ばれ,日野地方で採掘の盛んであった鉄・銀を求めて多くの商人が往来するので商人街道とも称された道筋に当たる。近代になり,鈩(たたら)(製鉄)の廃絶と昭和3年の伯備(はくび)線の開通によりそのにぎわいは失われた。近年自動車交通の発達は道路の全面改修を促し,それにより交通量は増えているが冬期の交通の至難さは解消されていない。 国道313号 倉吉市から広島県福山市に至る一般国道。延長約170kmのうち,県内部分は1万9,609m。倉吉市宮川町の交差点を起点として,新町・福吉町と市街地を通り抜け小鴨橋を渡り,若土(以上倉吉市)・関金・郡家(こおげ)・矢櫃(やびつ)(以上関金町)と進み,犬挾(いぬばさり)峠を経て岡山県に至る。以下,勝山市・高梁市を経て福山市に達する。この路線は藩政期から開け,作州往来としてにぎわい,東伯耆(ひがしほうき)と美作を結ぶ重要なもので,物資の交流が盛んに行われていた。現在でも峠以南の蒜山地区(岡山県)と経済・文化の結びつきが強く,県境を越えて路線バスも運行されている。 国道373号 兵庫県赤穂市から鳥取市に至る一般国道。延長101.8km,うち県内部分の実延長は1万3,537m。赤穂市有年を起点として,同県佐用・岡山県大原と進み,同英田郡西粟倉村坂根より志戸坂(しどさか)トンネルを経て,本県八頭(やず)郡智頭(ちず)町駒帰(こまがえり)に入る。中原・郷原・智頭(以上智頭町)に達し,国道53号を重用して鳥取市東町1丁目まで。東町1丁目で国道29号に合する。県内で最も早く開けた道筋にあたり,奈良期は国司が通り,藩政期は参勤交代の道であった。昭和9年志戸坂の険にトンネル開通以来,陰陽連絡の花形となるが,第2次大戦後には他の道路が整備されるに至り,狭小な路面,立遅れた道路設備でさびれてきた。しかし中国自動車道の開通により,県東部を結ぶ最短コースとして再評価され,昭和50年国道昇格,坂根・駒帰間3.4kmを新トンネルを含めてバイパス化する工事は,同52年度着工,総事業費32億円をかけて同56年12月2日開通。道路延長も短縮され,中国自動車道を経由すると,3時間余で阪神に至る。将来県東部と中国縦貫道佐用インターチェンジを結ぶ,準高速道路化する予定。同57年より用地買収に入る。 国道431号 島根県出雲市大島町下井手地先を起点とし,本県米子市二本木(にほんぎ)浜田に至る一般国道。昭和57年4月米子境ほか2路線が主要地方道より昇格した。本県では境水道大橋有料道路の境港市岬町45番11地先を起点として,旧一般県道米子境線(産業道路)を南下し四軒屋より分かれて上福原に至り,現在工事中の海生大橋を経て日吉津村に達し二本木の終点に至る。二本木にて国道9号に合する。東福原~二本木間は未供用。国道9号とともに,宍道湖・松江市・中海を取り巻く一大環状ルートが形成されることとなり,観光産業面に新風をもたらすものと期待されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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