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出雲大社
【いずもたいしゃ】


簸川(ひかわ)郡大社町大字杵築東(きづきひがし)にある神社。もと出雲国一の宮,主神は大国主神。明治4年までは杵築大社と呼ばれ,別当寺は鰐淵寺であった。国譲りの際,天照大神の命により建てられた宮が起源と伝え,「古事記」では石之曽宮(いわくきのそのみや)・天之御舎(あめのみあらか),「日本書紀」では天日隅宮(あめのひすみのみや),「風土記」では日栖宮(ひすみのみや)などと記されている。杵築大神宮・杵築大宮神とも称したこともある。現在の境内は4万7,000坪余,摂社・末社は23社を数える。代々神職を継承してきた出雲国造家は,初代の奉祀者と伝えられる天穂日(あめのほひ)命の子,建比良鳥(たけひらとり)命を祖とするといわれ,南北朝期に千家(せんげ)・北島(きたじま)の両家に分かれ,年ごとに交代で祭祀をつかさどっていたが,明治以後は千家家が奉祀している。国造の代替わりの際に行われた神賀詞(かんよごと)の奏上は,文献上では霊亀2年に始まり天長10年まで続き,昭和23年に復活したが,古代における大和朝廷と出雲地方の人々との特殊な関係を想像させるものがある。また出雲国造の本貫地は大社町の杵築ではなく,松江市の大庭(おおば)町付近にあり,その奉祀する神社は熊野大社であったことは,新国造の火継の神事がかつて大庭の神魂神社で,現在は八雲(やくも)村の熊野神社で行われることからも,うかがい知ることができる。神階は文徳天皇仁寿元年従三位勲八等,清和天皇貞観元年正月正三位,5月に従二位,貞観9年正二位,「延喜式」では名神大社に列せられ,明治4年官幣大社,大正期に勅祭社となった。神領は称徳天皇天平神護元年に早くも神封61戸があてられた。鎌倉期の建長元年6月の大社造営注文には流鏑馬15番に在国司朝山昌綱・守護代々木泰清以下の諸地頭が奉仕し,文永8年11月の「関東御教書」には260余町をもって1番とする計20番の相撲・舞の頭役を定めている。これにも諸地頭が奉仕している(北島家文書・千家文書/鎌遺7089・10922)。鎌倉期の社領は康元元年の「出雲杵築大社領注文」(北島家文書/鎌遺8068)に遙堪(ようかん)郷・高浜郷・稲岡郷・鳥屋(とや)郷・武志(たけし)郷・出西郷・求院(ぐい)村・北島村・富(とび)郷・伊志見村・千家(せんげ)村・石墓村に345町余となっている。のち南北朝期・室町期には諸所の地が寄進されている(旧県史4)。康元元年の大社領注文に見える12郷村は,江戸期の天和2年の「出雲国杵築大社神領古今覚」(千家文書/新県史史料編1)に挙げる12郷とほとんど同じで,他に7浦(杵築浦・黒田浦・免結(めい)浦・鷺(さぎ)浦・宇峠(うど)浦・井呑(いのめ)浦・宇竜(うりゆう)浦,ただし宇竜浦の半分は日御碕領)を8代将軍足利義政の時代まで領していたという。しかし戦国期天正19年に毛利輝元が7郷5浦を没収したという。江戸期には5,000石となった。社殿は神社建築様式の中でも最古に属する大社造りで,現在の本殿は桁行・梁間がともに6間(10.9m),高さ8丈(約24m)であるが,創建時は高さ32丈あったと伝えられている。古代の社殿の正確な全形,高さは不明であるが,天禄元年の「口遊(くちずさみ)」に,「雲太・和二・京三」と見え,非常に大きな建築物であったであろう。「新古今集」の撰者のひとりでもある寂蓮は「寂蓮法師集」の中で,「出雲の大社に詣でて見侍りければ,天雲たな引く山のなかばまでかたそぎのみえけるなむ此世の事とも覚えざりける」として「やはらぐる光や空にみちぬらむ雲にわけ入るちぎのかたそぎ」と歌っている。何度かの遷宮の後,宝治2年に高さ8丈の本殿が造られ,その後,戦乱などによって衰微したが,寛文7年に将軍徳川家綱らの援助によって遷宮が行われ,その際の規模を踏襲し,延享元年に建て直されたのが現在の本殿である。本殿は2間四面,6間四方で平面は田の字形の正方形で,神体は正面向かって右奥の間に置かれた神座の上に横向きにされている。神魂神社の正面に向かって左奥に神座を置く女造りに対して男造りである。現在の本殿の細部は江戸期のものと考えられるが,田の字形正方形の平面方式は古代から継承しているといわれている。本殿が国宝,本殿の前の楼門が県指定有形文化財であるほか,社宝も非常に多く,国宝として安元2年に高倉天皇からの寄進とされる秋野鹿蒔絵手箱,重要文化財としては銅戈・硬玉勾玉・宝治造営遷宮注進記・後醍醐天皇綸旨・足利義政の寄進とされる赤糸威肩白鎧,豊臣秀頼の寄進の備前長船住光忠の太刀などがある。例祭は5月14日~16日で,他に特殊神事として1月1日の大饌(だいせん)祭,旧暦1月1日の福神祭,1月3日の福迎祭,1月15日の御粥(おかゆ)祭,6月1日の真菰(まこも)神事,8月4日の身逃神事,8月15日の爪剥(つめはぎ)神事,旧暦10月10日~17日の神在祭,11月23日の古伝新嘗祭などがある。




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「角川日本地名大辞典」
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