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重栖港
【おもすこう】


隠岐(おき)郡五箇(ごか)村にある県管理の地方漁港。隠岐群島島後(どうご)北西部重栖川河口に位置。当港は秋から冬にかけて季節風を真正面に受け,またヘドロの堆積によって湾底が浅く,夏季に小型漁船が利用するにとどまる。中世重栖港を根拠として船団が形成され,本土に進出し,美保関(みほのせき)(現在の八束(やつか)郡美保関町)では重栖船と呼ばれていた(佐々木文書)。またかつては竹島水域出漁の基地であった。現在当港の港域に包含されている福浦港は,重栖黒崖(くろたま)を隔てて南に位置し,島後北部の唯一の北西季節風を防ぐ港であった。「隠州視聴合紀」の南方(みなみがた)村の条に「坂下富久浦という小村あり,渚を去ること一町ばかりにして,海に孤島あり,樹生い形よし,上に弁財天女を置き,村に向いて花表を立て,磯竹島に渡る者,是に於て泊して晴を量り風を占う」とあり,また,「隠州記」にも「弁財天,福浦の前弐町余北の方にあり,此社にて磯竹島へ渡る舟順風を祈り,帰帆之時も又恙なき事を祈る」と見える。近代に至り立地条件に恵まれないために衰微している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7178357