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手間関
【てまのせき】


現在の能義(のぎ)郡伯太(はくた)町大字安田関(やすだせき)にあった関所。「風土記」に「通道。国の東の堺なる手間剗に通うは四十一里一百八十歩なり」とみえる。剗は関の一種。「令義解」に,「関は検判の処,剗は塹柵の所」とあるから,壕を掘り柵を施して非常に備えるものであった。「古事記」に「手間の山本」とあり,「和名抄」に「伯耆国手万郷」とあるのはこの関の東隣である。「伊呂波字類抄」に「剗,六帖」として,「八雲たついづもの国のてまのせきいかなるてまに人さはるらむ」という歌を引き,また「堀河百首」に師頼として,「さりともと思ひしかども八雲たつてまの関には秋はとまらず」とあり,歌枕であった。これらの歌によってこの関が出雲地内にあったこと,都人にも知られた関であったことなどがわかる(風土記参究)。「旧県史」には,「母里の東北に安田村あり,字安田関は風土記に載する手間の剗の遺墟にして往古,出雲の東境,伯耆に通ずる要地に当たれり」とみえる。現在,大字安田関に関畑(せきはた)と称する所があり,その地に手間剗があったと伝える。同地内に関ノ向・関山・関山井谷などの地名が残る。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7180187