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安来公園
【やすぎこうえん】


安来市安来町の南山,歌と桜で知られる都市公園。総面積約6万m(^2)。社日神塔をまつる社日山の北端にあった社日桜から始まる。江戸末期安永の頃からと思える巨樹で,枝の広がりが全盛期には4aに及んだという。特殊な山桜で開花も遅く,いっそう近辺の話題を呼び,誰言うとなく「社日桜」と賞揚した。明治中期に暴風雨で倒れ,2代目を植え継いだ。初代同様株張りよくみごとであったが明治末期には老衰し,ひこばえを3代に育てた。同38年頃から篤志家により,大正初期には地元八幡(はちまん)町の有志によって吉野桜が植樹された。昭和2年社日公園として地元が管理した(代表渡部弥太郎)。安来節に歌われる「安来千軒名の出たところ,社日桜に十神山」はこの頃からの宣伝。昭和5年,古刹乗相院境内を含めて,町営の「安来公園」とし,時の安来農林高校長田村丈二の設計によって拡張整備され,8.9haの広大な公園が同6年12月に完成した。園内には社日が丘・夕陽が丘・浮花の池・千古渓・対山・日本台などがある。南の突端部は櫓山(やぐらやま)で見張櫓の跡,北の突端部は八幡山で,尼子の将木戸民部の砦(とりで)跡・古墳がある。千古渓の左法印塚には浄水池ができ,対山から眺めれば乗相院境内に慰霊塔が建てられ,阿弥陀如来をまつる本堂も52年に再建された。後醍醐天皇隠岐遷幸の宿坊と伝える。慈覚大師開創の観音堂,霊験の山根薬師堂などが鎮まる。東方へ尾根を進めば,日本台と呼ばれる眺望点に達する。波静かな錦海(中海(なかのうみ))に浮かぶ十神(とかみ)山に亀島,安来港から安来平野を一望し,浩然の気を養う。同29年都市公園に指定された。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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