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吉備路
【きびじ】


吉備地方における,特に古代文化を中心に,中世・近世にわたる歴史・自然景観をよく保存する地域。区域の定義はないが,律令制における備前・備中・備後・美作4国の地域,赤磐郡山陽町から吉備郡真備町・小田郡矢掛町あたりまでの旧山陽道に沿う地域,現在の吉備路風土記の丘を中心として吉備県立自然公園に指定されている地域などの考え方がある。一般に使われている吉備路は,昭和47年指定の吉備路風土記の丘県立自然公園区域をいい,岡山市・総社市・都窪郡山手村にまたがる面積887haの地域をいう。この一帯には備中国分寺跡・同国分尼寺跡・造山古墳・作山古墳・こうもり塚古墳などが集まり,古代吉備文化の中心部となっており,中央部に吉備路風土記の丘という特別地域がある。これを最も狭義の吉備路と考える人が多い。また,この付近は古代から近世にかけての吉備文化の史跡・伝承地が多く,昭和41年吉備史跡県立自然公園に指定されており,「古今集」に「真金ふく吉備の中山おびにせるほそたに川のをとのさやけさ」とうたわれた吉備中山や,吉備国総鎮守の吉備津神社,豊臣秀吉の水攻めの遺跡の備中高松城跡,四道将軍の一人吉備津彦命と温羅の伝承が残る朝鮮式山城の鬼ノ城,少年時代の雪舟が涙で描いた鼠の逸話で知られる井山宝福寺など多くの文化財を含む人文景観と,大和路に似た自然景観を持つ。その範囲は岡山市・総社市・倉敷市にまたがり,面積2,400haに及ぶ。また,吉備路自転車道は旧山陽道と随所で交錯しているが,沿道には吉備津彦神社・福田海・矢喰宮・鯉喰神社・千足古墳,備中総社宮などがあり,ほかに藤原成親遺跡など文学散歩の道ともなっている。また,倉屋敷・大原美術館で有名ないわゆる倉敷美観地区は,昭和54年に倉敷市倉敷川畔重要伝統的建物群保存地区に指定されており,この地域をも吉備路に含めることがある。さらに,両宮山古墳・備前国分寺跡などの遺跡に富み,中国資料館のある山陽町や,吉備真備の出身地といわれる真備町,山陽道の本陣石井家の現存する矢掛町の山陽道沿いまでも含めることもある。一般に吉備路自転車道として親しまれているレクリエーション道路は,正式には県道岡山総社自転車道線と呼ばれ,岡山市伊島町の県営総合グラウンドと総社市中央町を通る国道180号を結び,昭和55年に開通した吉備路である。




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「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7183401