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国道
【こくどう】


 国道2号 大阪市より中国地方瀬戸内沿岸の主要都市を結び,北九州市に至る一般国道。総延長640km,うち県内総延長91.7km。備前市三石の船坂峠で岡山県に入り,同市を通過して,邑久(おく)郡長船町の備前大橋で吉井川を渡り岡山市に入る。原尾島―新京橋―大雲寺交差点―清輝橋と市街地を通り抜け,泉田で国道2号岡山バイパスに入り,都窪郡早島町から倉敷市に入り,大西で終わる。次いで新霞橋で高梁(たかはし)川を渡り,浅口郡金光町・鴨方町・里庄町と西進して,笠岡市街地を通過して,用之江で広島県に至る。歴史的にも古代より山陽道と呼ばれて重要視され,江戸期には脇往還とされた。ルートは時代により多少変遷があるが,江戸期には岡山以東は現在のルートにほぼ沿っていたが,岡山以西は総社市―吉備郡真備町―小田郡矢掛町―井原市であった。明治期には太政官達「国道・県道・里道の制」により明治10年国道1等となり,西国街道または山陽街道と呼ばれた。大正2~7年まで第4号国道とされたが,道路法の制定により同9年第2号国道となり,同15年岡山以西が倉敷~笠岡間を通るルートに付け替えられ,ほぼ現在の路線となった。昭和38年より岡山~倉敷間の混雑緩和のために岡山バイパス(岡山市浅川~倉敷市大西間38.3km)の建設工事が始まり,同53年に岡山市君津~倉敷市大西間28.3kmが開通し,翌年国道2号に指定された。このため現在岡山市東部には,市街地を通る従来の国道2号と国道2号岡山バイパスの2本が並走しているが,岡山バイパスの浅川~君津間10kmが完成すれば統一される予定である。岡山バイパスは,東端では東備西播開発有料道路,西端では玉島バイパスとそれぞれ接合して機能を果たしているが,通過車両台数はすでにその限界に近づいており,国道2号に代わる幹線道路として山陽自動車道(高速自動車道)の完成が望まれている。 国道30号 岡山市から玉野市宇野港を経て高松市に至る,本州と四国を結ぶ一般国道。延長42.0km,うち宇野港~高松港間約15kmは海上部分である。岡山~香川の本四連絡ルートは,明治期までは岡山―下津井(倉敷市)―丸亀が四国街道として利用されていたが,明治43年宇高連絡船の運航とともに宇野―高松に移った。このため岡山市―妹尾町(岡山市)―児島灘崎町―玉野市宇野港の道路が整備され,大正9年道路法の制定により国道22号となった。次いで昭和27年の道路法で1級国道30号,同40年に一般国道30号となった。この間昭和36年宇高航路に民間フェリー船の就航に合わせて大規模な付替工事が完成し,現在のルートとなった。このため旧道は主要地方道岡山児島線および主要地方道倉敷玉野線の一部となり,両線は灘崎町で交わっている。現在の30号県内陸上部は,岡山市東中央町の起点より南下し,同市泉田で国道2号と分離し,同市藤田で児島湾干拓地の中央部を通り抜け,灘崎町から玉野市に入って児島半島の脊梁山地を横断して宇野港(玉野市築港)に至る延長25.1kmである。 国道53号 岡山市と鳥取市を結ぶ一般国道。総延長137.8km,うち県内延長91.3km。県内は岡山市東中央町を起点とし,津島を通り辛香峠をトンネルで抜けて,御津郡御津町に入り,旭川沿いに同郡建部町まで北上したのち,JR津山線に沿って久米郡の久米南町・中央町と吉備高原を縦貫し津山市に入る。以後北東に向きを変えて,勝田郡の勝北町・奈義町と那岐山麓の日本原高原を横断し,県境の黒尾峠を越えて鳥取県に入る。岡山~津山間は津山往来として古くから利用され,江戸初期に辛香峠越えが出来るようになると,ほぼ現在のルートとなり,明治期以後も津山往来は因幡街道の中に含められ国道に指定された。津山~鳥取間は江戸期までは因幡往来,明治期以降因幡街道と呼ばれたが,黒尾峠が難路のため,志戸坂峠(英田(あいだ)郡西粟倉村)越えが一般に利用されていた。黒尾峠の道路整備は明治期日本原高原の開拓とともに進められたが,本格的な整備は昭和28年改正された道路法により2級国道179号に指定され,同37年1級国道53号に昇格してからである。同40年一般国道53号となる。現在黒尾峠には黒尾トンネル(長さ843m,幅員8m)やループ橋(標高差28.6m,長さ265m)が設置され,消雪装置により冬季でも通行が可能となり,山陽と山陰をつなぐ幹線道となっている。近年,岡山市や津山市の市街地では交通渋滞の解消のため,岡山北バイパス(岡山市津島~吉宗間7.4km),津山バイパス(津山市皿~二宮間1.6km)の建設が進められている。 国道179号 兵庫県姫路市と鳥取県羽合町を結ぶ国道。総延長150.471km,うち県内総延長は70.05km。昭和40年県管理となり,岡山県勝英地方振興局・津山地方振興局が分担している。主要地方道姫路津山線・津山倉吉線が昭和37年5月に2級国道に,姫路倉吉線を追加して格上げ,同40年4月に一般国道となった。県内は英田(あいだ)郡作東町土居3331‐1を起点とし,JR姫新線の南側を通って,中国縦貫自動車道と最接近,ここで主要地方道作東大原線が分岐する江見を抜け,吉野川に沿って,同郡美作町に入り,平福を抜け,天神橋・鶴亀橋を渡り,林野に入る。ここで国道374号と重用し,姫新線林野駅に至り,姫新線の右側に沿って,出雲街道本陣のあった勝田郡勝央町勝間田を通り,津山へ抜け,津山インター近くに出て,国道53号と重用し,津山口で吉井川に架かる新境橋を渡り,国道181号と重用し,院庄インター付近で分かれて,苫田郡鏡野町に入る。竹田・塚谷を通り,同郡奥津町に入り,吉井川沿いに北上し,奥津温泉郷を抜け,上斎原村へ入ると直ぐ近くに岩崎谷スキー場がある。やがて,恩原スキー場方面に行く主要地方道江府中和用瀬線と分岐し,人形峠へ出て鳥取県に出る。全線の拡幅改良率は100%,舗装工事は85.7%完了している。岡山県が昭和60年度に行った,12時間自動車類交通量調査によると,兵庫県境付近の作東町土居で2,818台,美作インターの近くの美作町入田で1万308台,院庄インター付近の津山市二宮で最高の1万2,470台,上斎原村では1,293台である。昭和60年度の建設省調査の旅行速度および時間は美作町374号交点から津山181号交点まで22.9kmを,時速37.8kmで36分である。 国道180号 岡山市と島根県松江市を結ぶ一般国道。県内延長122.5km。岡山市を起点とし,高梁(たかはし)川に沿って総社市―高梁(たかはし)市―新見市を経て,県境の明地トンネルで島根県日野町に入る。新見市千屋と日野町を結ぶ明地峠は長い間不通状態で,幻の国道といわれていたが,昭和49年この峠に全長1,130mの明地トンネルが開通して現在の国道となった。しかし,高梁川の嵌入蛇行が激しく,カーブも多く,道幅も特に新見市千屋地区では狭い。備前・美作と伯耆を結ぶメーンルートは出雲街道といわれる四十曲峠越えの国道181号である。 国道181号 津山市津山口と鳥取県米子市富士見町を結ぶ一般国道。総延長96.735km,うち県内総延長は55.325km。昭和40年県管理となり,県津山地方振興局・真庭地方振興局が分担している。主要地方道津山米子線が昭和28年5月に2級国道に,同40年4月に一般国道となった。県内は津山市津山口字久保田北283‐1を起点としている。津山口から吉井川を渡り,国道179号と重用し,院庄で分岐し,新錦橋を渡り,JR姫新線,中国縦貫自動車道と並行して,久米郡久米町の中央をほぼ南北に分断する形で西進して真庭郡落合町追分に入り,直ちに同郡久世町に入る。ここから旭川と姫新線に並行西進し,同郡勝山町に抜ける。勝山で国道313号と分岐し,江川で姫新線と分かれて北上し,神代を通り,新庄川に沿って美甘(みかも)村の八反を通る。この両側にはモリアオガエルの生息地などがある。そこからさらに北上し,中心部を抜け,長田・羽仁を通って新庄村へ入る。ここは出雲街道の本陣跡が残っている。新庄川の支流戸島川に沿って遡上し,四十曲峠を通って鳥取県日野町に至る。全線の拡幅改良率は100%,舗装工事も100%完了している。岡山県が昭和60年度に行った12時間自動車類交通量調査によると,宮尾の付近で6,655台,久世町の中心地近くで,しかも国道313号との分岐点近くでは1万169台,美甘村平島で2,789台,新庄村戸島の県境近くでは1,786台である。昭和60年度の建設省調査の旅行速度および時間は津山の179号交点から勝山町313号交点まで25.7kmを,時速44.9kmで34分である。 国道182号 新見市と広島県福山市を結ぶ一般国道。総延長93.3km,うち県内総延長20.9km。新見市より阿哲郡神郷町―哲西町を経て広島県東城町に入る。新見市内は中国縦貫自動車道とほぼ並走し,神郷町~哲西町間はJR芸備線も並走する。また神代川がほぼ並行して流れる。 国道250号 兵庫県神戸市と岡山市を結ぶ一般国道。総延長131.7km,うち県内延長17.3km。兵庫県赤穂市から和気郡日生(ひなせ)町に入り,備前市にて国道2号と合流する。ほぼ瀬戸内海沿岸を走る。日生港などで水揚げされた魚介類を運送する道路として,車の往来が激しい。 国道313号 鳥取県倉吉市東巌城町と広島県福山市三吉町を結ぶ一般国道。総延長1万6,593km。うち県内総延長は136.085km(実延長は124.839km)。昭和45年県管理となり,県真庭地方振興局・高梁地方振興局・井笠地方振興局が管理を分担している。主要地方道倉吉勝山線,倉吉江府線の一部,久世建部線の一部,高梁久米線の一部,井原高梁線,福山井原線が昭和45年4月に一般国道となった。本県内は真庭郡八束(やつか)村下長田24‐2を起点としている。鳥取県関金町から犬挟峠を通って南下し,道目木で主要地方道江府中和(ちゆうか)用瀬線と交差重用して旭川の左岸を大きくカーブしながら南下し,中和村に入り,湯原湖東北端で主要地方道と分かれ,南下し熊居峠トンネルを抜け,湯原町芦谷田羽根に抜ける。湯原ダムのすぐそばに出てきて,温泉郷を下り,主要地方道湯原奥津線・同湯原美甘線と分岐し,足を通って勝山町に入り,そこから国道181号と重用し,久世町に至り,そこで再び分岐して南下し,落合町に至る。落合橋のところから主要地方道落合建部線と分岐し,中国縦貫自動車道および備中川に沿って西進し,北房町に入り,下呰部から,上中津井・横山を抜け,多和山トンネルを抜けて有漢(うかん)町大谷へ抜け,高梁市巨瀬を通り,伯備線木野山駅付近に出てくる。そこから国道180号と重用し,成羽川と高梁川の合流点付近の段町で分岐し,成羽川を西進して成羽町・川上町に入り,領家―地頭―笹之丸を通ってわずかに美星町をかすめ,芳井町花滝に入り,吉井へ出て,そこから小田川に沿って南下し,ジーンズのまち井原市に出る。そこから旧山陽道を通って西進し,井原市高屋町字境森18‐1を境に,広島県神辺町に至る。全線の拡幅改良率は94.3%,舗装工事は92.2%完了している。県が昭和60年度に行った,12時間自動車類交通量調査によると,県境からはいってくる,八束村上長田で1,038台,上在所で2,115台,落合インターチェンジの接続付近の上市瀬で8,326台,北房町中津井で2,689台,高梁市落合町阿部で7,745台,川上町三沢で879台,井原市金鴨で1万4,056台である。昭和60年度の建設省調査の旅行速度および時間は勝山町の181号交点から高梁市の180号交点まで52.6kmを,時速41.7kmで1時間8分である。 国道373号 赤穂市と鳥取市を結ぶ一般国道。総延長62.542km,うち県内総延長14.896km。昭和50年県管理となり,県勝英地方振興局が管理している。主要地方道智頭佐用線が昭和50年4月に一般国道になった。県内は兵庫県佐用町から英田(あいだ)郡大原町西町に入り,中町から吉野川と,建設中の智頭線に沿って北上し,西粟倉村に入り,影石・坂根を経て,県境の志戸坂峠をトンネルで抜け,鳥取県智頭町に入る。影石で大規模林道が分岐する。坂根から北東に分岐すれば,若杉原生林,たたらによる鉄の道が通じていた若杉峠がある。全線の拡幅改良率は100%,舗装率も100%。 国道374号 備前市西片上より吉井川沿いに北上し,津山市河辺に至る一般国道。延長54.6km。県が管理する。昭和50年4月に県道より国道に昇格したもので,改良率86.2%(昭和60年)。江戸期には片上往来と呼ばれており,このうち西片上から和気(和気郡和気町)までは特に和気道といわれて,吉井川を航行する高瀬舟の物資を和気で陸揚し片上港に運ぶルートであった。現在は西片上より片上鉄道沿いに北上し,和気町に出て吉井川の左岸を同郡佐伯町まで北上。英田(あいだ)郡英田町より吉井川の支流吉野川に沿って同郡美作町林野に至り,国道179号と合流し,ここから北西に向きを変え,勝田郡勝央町勝間田を経て,津山市河辺で国道53号と合流する。この間13.3kmは国道179号と重用区間となっている。 国道429号 倉敷市と津山市を結ぶ一般国道。総延長73.766km。倉敷市中島字中新田(通称国道2号大西交差点)から同大島交差点までは旧国道2号,そこから水別峠を越え山手村を通り国道180号の岡山市高松田中までは旧主要地方道倉敷田中線,ここから国道180号を併用し,岡山市門前より足守川左岸沿いに北上し吉備高原に入るがこの道は津山市高尾字馬床久保までは旧主要地方道岡山加茂川津山線であった。昭和57年3月30日国道429号として統合・昇格した。旧足守藩の陣屋町を通り加茂川町に入るが,ここで県が建設を進めている上房郡賀陽町から御津郡加茂川町にかけての吉備高原都市へ通ずる県道岡山賀陽線が分かれる。円城・小森温泉を通り旭町に入る。ここまでは江戸期に栄えた大山道の一部である。旭川に造られた旭川ダムの上流の旭川湖を江与味橋で渡り,江戸期の旭川の船番所が置かれていた西川までは湖畔の道である。西川から通谷川に沿って上り,東の倭文(しとり)川との分水界である休乢を越え,油木―公文下―桑上(以上久米郡久米町)を通り久米郡中央町錦織を通り津山市高尾で国道53号に接続する。この国道は現在は県の管轄下にある。この道は平野部では改良が終わっているが,高原内には未改良の部分も残る。 国道430号 倉敷市と玉野市を結ぶ一般国道。総延長40.241km。倉敷市連島西之浦字弁才天(国道2号霞橋東詰)から高梁川河口の左岸を南下し,連島町鶴新田―川崎製鉄所の北側―三菱自工の北側を通り広江までは水島工業地帯の北側の主要道路となる。ここから児島半島の西側の海岸線となり,呼松町~児島通生(かよう)を通り瀬戸中央自動車道をくぐる。児島赤崎―児島下の町―児島唐琴町(以上倉敷市)―王子ケ岳の南―渋川―日比(以上玉野市)までは児島半島の南側の海岸線を通るが,風光明媚な瀬戸内海国立公園の中心地である。玉野市の中心街の宇野7丁目で国道30号に接続する。この国道は元主要地方道玉野玉島線であったが,昭和57年3月30日国道430号に昇格した。現在は県の管轄下にある。児島半島を西~東に迂回する部分は狭小で自動車の運行に困難であったが,現在,改良が進められている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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