100辞書・辞典一括検索

JLogos

11

大山道
【だいせんみち】


大山信仰と牛馬市の中心地伯耆大山に通ずるすべての交通路。県内にも大山道がいくつかある。その代表的なものは,久世から三坂乢(以上真庭郡久世町)―釘貫小川―湯本(以上同郡湯原町)―下長田―犬挟峠(以上同郡八束(やつか)村)から倉吉(鳥取県)に至る道筋で,現在の国道313号とほぼ一致する。また,釘貫小川から土居―藤森―鳥居乢(以上湯原町)―延助―内海乢(以上真庭郡川上村)から鳥取県に入り,下紋屋―御机―大山寺に至る道筋もあり,現在の湯原町域の土居~藤森間は,羽部―立石―中山を経て藤森に至る経路と,湯本―小童谷(ひじや)―黒杭を経るものがあり,湯本経由の道筋は,昭和30年湯原ダムの完成により湖底に没した。この往来は春秋と正月の大山市に行く牛馬のほか,山中(さんちゆう)と呼ばれた蒜山高原地域特産の鉄・タバコ,山陰の木綿などが久世河岸に運ばれた。また,鳥居乢は「嘗て郡人華表を植え,大山大智明権現に奉ず。蓋し,老幼婦女,ここに遥拝して以て山に詣でるに準ずるなり」(新訂作陽誌)とあるように,大山を中心に東西南北に建てられていた鳥居のうちの南面のものがあった(現在は再建された)。湯原から鳥居峠の一帯には,享保11年の山中一揆の犠牲者の墓所がある。郷原は木地師による漆器で有名。延助には牛をつないだ軒下の穴あき石が現存し,宿場町の面影を残す。一方,備中からの大山道には,備中松山―塩坪(以上高梁(たかはし)市)―中津井―呰部(あざえ)(以上上房郡北房町)―布瀬―小阪部―君山(以上同郡大佐町)を経て根雨(鳥取県)に至る道と,高梁―川面―田井(以上高梁市)―広石―井倉―石蟹(いしが)―上市(以上新見市)から上石見(鳥取県)に通じる道がある。また,一宮(津山市)の牛馬市と大山の牛馬市を結ぶ大山道は,出雲往来を経て,久世で分岐して大山へ至る道筋と,一宮―田邑(以上津山市)―古川―山城―湯指―大成(以上苫田郡鏡野町)に至り,ツヅラ乢を越えて現在の苫田郡富村を縦断し,上杉越(植杉越とも書く)を通り,下和(したお)―吉田―別所(以上真庭郡中和(ちゆうか)村)から道目木(八束村)で伯耆往来に合流する道筋がある。一宮~道目木間は津山街道ともいわれる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7184673