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吹屋往来
【ふきやおうらい】


成羽から吹屋(以上川上郡成羽町)を経て新見(新見市)に至った吉備高原上の道。成羽―枝(以上川上郡成羽町)―宇治(高梁(たかはし)市)―吹屋―坂本(以上成羽町)―矢戸―本郷―宮河内(以上阿哲郡哲多町)を経て高梁川を渡り,正田を通って新見に達し,ここで伯耆往来と接続した。この往来には古代から採鉱されていた吹屋銅山があり,近世から明治期にかけてはベンガラ生産の最盛期であった吹屋への物資輸送路としてにぎわった。矢戸~宮河内間は高梁川の支流本郷川を挟んで主要地方道新見川上線がほぼ並行しており,宮河内から高梁川本流間4.5kmは山が本郷川に迫る谷あいの道であった。現在の正田橋(新見市)の上手に高梁川の渡し場があった。また,東城~玉島間の東城往来も吹屋を経由しており,八鳥(阿哲郡哲西町)~成羽間は吹屋で馬継ぎをしていたため,吹屋付近では吹屋往来と呼ばれていた。神代川流域と本郷川流域の木炭・米が吹屋に運ばれて吹屋往来は繁盛を極め,明治8年の吹屋馬継所の記録によれば,備後東城方面の鉄荷を含めて,この往来で輸送に従事した駄馬数は,千屋村370頭,神代村211頭,矢神村200頭,新砥村182頭で,吹屋の盛衰と運命を共にした吉備高原上の往来であった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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