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木江港
【きのえこう】


豊田郡木江町,大崎上島の東南部にある港。港界は市街地の南の突端から北へタマコ山の突出部に引いた線で,木江の入江をほぼ中央で包む形になっている。布刈(めかり)瀬戸~三原沖~大下(おおげ)瀬戸(愛媛県)は来島(くるしま)海峡につぐ内海の主要ルートであるが,木江沖は対向する大三島との間の水路として,その一部分を占める。17世紀には瀬戸内海を東西航する大型船があり,御手洗(みたらい)はその風待ち潮待ち,中継地として栄えたが,18世紀の前半の船番所の存在を好まない風潮もあって木江が利用されるようになったという。木江の入江は北と西に長く続く尾根が西風を防ぐ位置にあり,木江沖は18世紀には航路として盛んに利用された。古くからの木造船は昭和30年代に鉄船に切替えられたが,修理船も含めて昭和53年の出入船舶は2.4万隻379.5万総t(うちカーフェリー関係9,3000隻183.9万総t)となっている。同じく船舶乗降人員は36万2,000人,海上出入貨物(出17.3万t,入23.8万t)では自動車航送関係が25.5万tを占める。愛媛県境付近にある港らしく航路も多方向に伸び,三原~松山,竹原~豊島の高速艇,竹原~大長(大崎下島)や木江―大三島―今治のカーフェリーがあり,付近の島々の交通の中心地であり,島内のバスも発着する。入江の沖は直ちに10~30m台と深くなるが,港界付近には木江洲があって(水深10m台)全体的に錨かきがよい。地方港湾で古く船市場として知られ(昭和30年代の鉄船ブームの時代にはロンドンの新聞に広告を出したという),潮待ちの要地で(偏東風以外は良好の避難地),来島海峡の通過に困難を感ずる低速の機帆船の多くは当地沖(潮流は1.5ノット程度)を経由する。内航の定期船の寄港地でもあり,港は入江を中心にした内港(その入口付近南に天満桟橋,北に一貫目桟橋がある)と外港に分かれ,底質は砂まじり粘土で好錨な条件下にある。なお,中国海運局の支局,呉海上保安部の分室がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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