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庄原道
【しょうばらみち】


元禄13年幕府領となった甲奴(こうぬ)郡上下(上下町)から北へ田総(たぶさ)(総領町)―粟石峠(411m)―庄原(庄原市)を結んでいた道筋。上下は瀬戸内海の主要港尾道に通じていたため,田総付近では庄原街道,尾道街道とも呼ばれた。上下は名の示すように陰陽の分水嶺にあり,上下川(旧称矢野川)と矢多田川が接近し,矢多田川が上下川の流域を奪った河川争奪の地域でもある。神石(じんせき)郡や甲奴郡を支配する約5万石幕府領として,貸付金は特に上下銀と呼ばれて取立ても厳しく,豪商が近郷に勢力をもった。尾道から甲山を経て延びる道と福山から府中を経て延びる道の交点に位置した上下は,甲奴郡一帯の交通の中心地であった。幕府領となって,数年のうちに石見銀山のある大森代官所(島根県大田市)の支配下に入ったためもあって,三次(みよし)方面への連絡も盛んで,大坂へ納める銀の経路になったこともある。田総には上市・下市があり間宿として栄え,牛と和紙(木屋の紙)の取引が盛んで,内海塩の庄原送りの道筋でもあった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7189295