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瀬戸内海国立公園
【せとないかいこくりつこうえん】


大小3,000余の島々を浮かべる瀬戸内海を覆う国立公園。区域は10県に及ぶ総面積6万3,118ha,うち本県分は1万750ha。昭和9年に指定を受け,同25年と31年に地域の追加があった。国名勝である鞆ノ浦と仙酔(せんすい)島(福山市),高見山(向島町),鳴滝山(尾道市・三原市),筆影山(三原市),黒滝山(竹原市・三原市),青影山(因島市),観音山および西日光の異名をとる耕三寺(瀬戸田町),大久野島(竹原市),神峰山(大崎町・木江町),一峰寺山(豊町),野呂山(呉市・川尻町・安浦町),休(やすみ)山(呉市),火山と桂ケ浜(倉橋町),国特別名勝ならびに特別史跡である厳島(宮島町),極楽寺山(廿日市市)が県内の主たる景勝地である。国民の保健休養の拠点とするための集団施設地区として,厳島と野呂山に国民宿舎やレストハウス,休山近くの音戸瀬戸,神峰山,青影山そして鞆ノ浦に国民宿舎が設けられ,国民休暇村の指定を受けた大久野島に諸施設が整備中である。内海特有の鏡のような海面に影を映す島々には,白砂青松の海岸が美しく,屈曲に富む海岸は浦と岬が交互に連なる。日本を代表する風光明媚な多島海であるが,低地に乏しい島の産業は零細な半農半漁となり,斜面を登りきる土地利用は,耕して天に至ると形容されてきた。島々を結ぶ交通機関は小型の連絡船である。県の中部島嶼地域架橋計画は,尾道市と愛媛県今治市を結ぶ本四連絡架橋に接続する交通体系を構想し,離島性解消をねらっている。なお,沿岸諸都市の過密化,工業の発達は,閉鎖性水域であるため,極度の水質汚濁や赤潮の多発という環境問題を呼び起こし,広域にわたる対策が求められてきた。昭和48年制定された瀬戸内海環境保全臨時措置法は,同53年策定された瀬戸内海環境保全基本計画のもとで,瀬戸内海環境保全特別措置法となり,その効果が期待される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7189473