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高野山道
【たかのやまみち】


備中街道の中心庄原を起点に,比和経由で高野山の新市(現高野町)へ通じていた道。現在の庄原市から比婆郡比和町~高野町を経過していた。庄原から北西,川北川と西城川の合流点付近は谷口集落が発達し(市場),川北川上流には駅所のあった伊勢町の集落があった。川北筋から盤ノ谷(はんのや)(半之谷)峠を越えると山村部の比和となる。比和川筋を上ってその街村部を抜け,王居峠を越えて高野町の新市に向かう。現在は国道432号で,昭和53年盤ノ谷峠にトンネルが開通し,降雪時の自動車交通も円滑になった。比和~高野間一帯は厳しい冬に備えて,漬物小屋をつくるほど漬物が盛ん。この道は昔,三原から北上した後鳥羽上皇の隠岐遷幸に関係したといい,上皇にちなむと思われる王居峠や王貫峠などの地名が残る。庄原から塩や日用品が入り,一方,鉄が送り出され,備後からの出雲詣に利用された。王居峠の手前,北東の吾妻山には鈩鉄採取跡がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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