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滝山川
【たきやまがわ】


1級河川太田川水系の支流。山県郡芸北町土橋北方の雲月山(911.8m)に源を発し,南流ののちに同町王泊で北東からの大暮川(流長11.9km)を,同郡戸河内町猪山で北西からの大佐川(流長18.0km)を合わせ,同郡加計(かけ)町に至り,加計町市街地西郊で太田川に合流する。流長33.8km。昭和5年5月に河川法の施行を受ける。上流部は西中国山地の脊梁部の高原地域で,下流部は緩傾斜を呈する地域であり,中流域は隆起に対する先行河川として穿入曲流の典型的地形を呈する。田畑の展開する上流部高原地域を除いては,河床は常に岩石の散乱する様相を呈し,中流・下流域では急峻な山腹が渓流を包み,土地の人は「山が滝の如く川に垂れ下る」といった形容をしている。土石流による土質崩壊を「山が走る」と呼び,河谷部を避け,人々は山稜部の尾根伝いに往来を行っていた。古くは筏流しのための木流しを行い,支流の大佐川からはかなりの量が運ばれていた。加計町川北大橋下流に筏を組んだ場所がある。「芸藩通志」の山県郡部に載る奥山荘と太田荘を結節する重要交通路に当たる。藩政期には加計村の隅屋の経営する鉄山業の産地として利用され,鈩や鍛冶屋が各所に置かれ,山林は薪炭を産する場として藩の御建山等も含み広域な利用が行われた。王泊ダム・滝山ダムに続き,近年温井ダムが建設される。滝山峡は,上流の王泊ダムから太田川合流点までの約12kmに及ぶ。素盞嗚尊が大蛇を斬ったとの伝説が残る江ノ淵をはじめ,魚切・大ナメラ・樫が瀬・蛇ノ床・轟など,奇岩絶壁を背景とした深淵,滝が変化に富んだ渓谷美をみせる。また,流域ではミズナラなどの天然林も広範囲に広がり,流域300haが自然環境保全地域に指定されている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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