西中国山地国定公園
【にしちゅうごくさんちこくていこうえん】

広島県と島根県境に広がり，一部山口県を含む。国定公園。総面積2万8,553ha。昭和44年指定。本県分は1万5,389haで，江の川(ごうのがわ)関門以西の脊梁山脈に当たる。江の川関門以東の比婆・道後山塊と異なり，北東～南西走向の山塊が列をなし，直交する河谷は多くの渓谷を生む。山岳と渓谷が織りなす景観と豊富な動植物相をもつ。西から，佐伯郡吉和村の冠山（1,339m）と十方山（1,318m），山県郡戸河内町の恐羅漢山（1,346.4m）と深入山（1,153m），同郡芸北町の臥竜山（1,223.4m），大佐山（1,069m），雲月山（911.8m），阿佐山（1,218.2m）が並ぶ。山頂に平坦面を残す山が多く，雲月山をはじめ，草原が展開する。展望に優れ，特に十方山は360度の展望がきくことにその名もちなむ。雄大な山並みの間に，標高800mの高原が展開する。冠山中腹の冠高原はレンゲツツジの大群落が見られ，県天然記念物である。ブナ群生原始林に覆われる臥竜山西側の八幡高原は自然の宝庫とされるほか，景勝地で，夏はキャンプ場となる。八幡高原から流れ出る柴木(しわき)川は，深入山と聖山の間を深くうがち，16kmに及ぶ三段峡を形成する。三段ノ滝・二段ノ滝を中心に，急流・深淵・断崖が続き我が国屈指の大峡谷で，国特別名勝である。なお，冠山・深入山・大佐山はじめ，多くのスキー場があり，深入山南麓に，いこいの村ひろしまの集団施設があり山小屋やキャンプ場等の整備が計画されている。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7190205