100辞書・辞典一括検索

JLogos

15

広島港
【ひろしまこう】


安芸郡の坂町・海田町,広島市の安芸区・南区・中区・西区・佐伯区,廿日市市にまたがる港。県管理の重要港湾(甲種)。港域は,坂町の観音崎から西へ,峠島・似島・大カクマ島(大弁天島),廿日市町の御手洗川河口付近を結ぶ海域。ただし,草津や五日市の漁港区域を除く。昭和58年の入港隻数は7万2,755隻,3,239万9,228総tで,うち外航船1,341隻,1,372万4,227総t,自動車航送2万6,991隻,9,424万2,687総t。特定重要港湾である新潟や室蘭・四日市などよりも外航船の入港隻数は多い。昭和54年9月外貿コンテナ港の枝港(本港神戸)に指定され,国際貿易港定期船港化への礎石を固めた。同58年8月には対メキシコ定期航路を開設。都市近郊交通としての湾内島嶼連絡,杉山・今治・大阪・別府への連絡などカーフェリーや高速船の発着が盛んである。乗降人員の計は昭和58年に387万8,701人で,高杉・神戸・宇野・尾道糸崎・鹿児島に次いで多い。輸出は615万3,361tで,輸送機械597万2,398tのほかにコークス・米・雑穀・豆・原木などがある。輸入は111万2,645tで,原木89万3,996tのほかに麦・石炭などがある。移出は588万9,989t(自動車航送234万7,670t)で,輸送機械310万1,726tのほかにコークス・原木・金属くず・鉄鋼などがある。移入は969万4,687t(自動車航送218万6,240t)で,砂利・砂・石材など231万574tのほかセメント・石油製品・鉄鋼・輸送機械・重油・米・石炭などがあり,地元消費型を示す。係船岸壁は,広島市(佐伯区を除く)・坂町で大型用3,217m,小型用2,659m,廿日市市・佐伯区で大型用371m,小型用862mとなっている。当港は,大正11年宇品港を広島港に改名し,第2種港湾に指定。昭和23年開港,同26年重要港湾に昇格し,廿日市港区を木材関係施設として充実する方向にある。廿日市港区は昭和45年10月の港湾区域の変更により広島港に編入した。広島港における原木輸入に対応して,木材輸入の基地にするための埋立てや貯木場の建設が進められている。陸上は家具を中心に玩具など木工業が盛んである。旅客航路はない。前面に西能美島や大奈佐美島・厳島などがあって港区内は平静で,海底は砂交じり粘土で錨かきもよい。現在の計画では,広島市沖で原木を船から投下して筏に組み,吉島その他に運ぶ形から,原木運搬船を直接廿日市沖の海面に導くことにするものである。広島港は避難港としての性格を持ち良質の給水に恵まれているものの,外洋から離れていること,軍関係への依存の結果から民間の関係業者層の充実が遅れたことが指摘される。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7190636