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椋浦港
【むくのうらこう】


因島市,因島の東部にある港。市管理の地方港湾。客船が尾道―御幸瀬戸―大浜―外浦(とのうら)―椋浦―三庄(みつのしよう)に通い,海岸付近における陸上交通の不備も補っている。外浦・鏡浦・椋浦は明治22年の市制町村制施行で三浦村となり,船乗業が多かった。昭和58年の入港船舶は4,507隻,22万2,634総t(自動車航送なし),乗降人員は3,098人,海上出入貨物は11t(出5t,入6t)。江戸期は椋浦の廻船の名があり,「芸藩通志」はこの小村が1,500~1,600石以下の船35艘を有したという。御蔵米や尾道にも近いため商人荷も多く扱ったようである。中世村上水軍の長崎城(土生)からみれば,当地は備後灘を望見する艮の方向にあり,艮神社は椋の森のなかにあったという。「因島市史」は15世紀半ばにおける海賊を避けて山腹に居住した椋浦先住民の存在を伝え,16世紀後半小早川隆景による一の城(備後灘への備え)の出城を示している。海岸の墓碑に慶長とあるところなどから,現在の海岸集落は江戸初期からであろうという。豊臣秀吉の海賊取締令以後,海岸に人々が居住し始めたようである。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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