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吉和漁港
【よしわぎょこう】


尾道市にある漁港。県管理の第2種漁港。栗原川河口の西に位置し,尾道糸崎港域内にある。国鉄山陽本線の北の山手に吉浦があり,付近の浦としての開発は中世から古代にさかのぼるかと思われる。広島県では一般に「よし」は水辺にあるアシの意に用いられる。平地に乏しく,山の利用も考えて北と西に広がったようで,漁業専業と農業への分離集団や塩業集団ができて,江戸期には浦方・村方・浜方の3庄屋があったほどである。吉和の漁民は西へ木原沖一帯に広がり,タイ・タコ・ナマコ・スズキなどを尾道の魚市へ運んだ。タイ・エビ・イカ・タコなどを因島周辺でとるのに代わって,ノリ・ワカメ・ハマチの養殖に加えて,フグの貯養(幼魚を育てる)があった。昭和54年12月現在の吉和漁協所属の漁船数は410隻(尾道市全体は967隻),1,354t(同2,323t)である。尾道水道,布刈瀬戸入口の百貫島や弓削島(ともに愛媛県)方面まで出漁する一本釣りが209隻,底引網が107隻,採介藻(ノリ)41隻,はえ縄35隻などがある。そして,尾道の漁業を特色づけるものにフグの受精卵の自然放流がある。毎年4月28日~5月6日に行われるもので,岩子島の西にある大鯨島・小鯨島や細島北西の細ノ州などがその対象地である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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