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秋吉台国定公園
【あきよしだいこくていこうえん】


美祢(みね)郡秋芳(しゆうほう)町と同郡美東(みとう)町にまたがり,県のほぼ中央部に位置する国定公園。昭和30年11月1日国定公園に指定。面積4,502haが公園区域で,開発等に規制がある特別地域3,662haと普通地域840haに分けられる。秋吉台は標高200~400mの高原状のカルスト台地をなす。典型的なカルスト地形は日本最大の規模をもち,昭和36年国天然記念物,同39年国特別天然記念物に指定された。厚東(ことう)川東側の秋吉台は東西約16km,南北約8kmの石灰岩地域で,ほぼ平行四辺形をなす。石灰岩は2億~3億年前の古生代石炭紀~二畳紀に形成され,多くの化石を含み,大きな地殻変動を受けている。石灰岩は水に溶けやすく,化学的溶食による地形が発達する。台上には溶食から残されたヒツジの群のように見える露出した灰白の石塔(カレン)が散らばる石塔原(カレンフェルト)が広がる。地獄台の景観は見事である。台上には河川は見られず,雨水は地下に浸透してドリーネやウバーレと呼ばれるすり鉢型の凹地を残す。若竹山や長者ケ森にかけて多くのドリーネが分布する。台地麓下に形成される平野をポリエと呼び,集落が立地し,水田が開かれている。台地下には鍾乳洞が形成され,270を超す石灰洞が発見されている。秋芳洞(あきよしどう)は古くは滝穴と呼ばれ,台南端の広谷ポリエに開口する。入洞しうる距離約1.2km,洞床から天井までの高さ平均20m,最高40m,最大幅員約100m。鍾乳石・石筍・石柱・石灰華などの奇観が見られる。洞内と台上を結ぶエレベーターがあり,黒谷支洞から矢ノ穴へ出る観光コースも開かれている。鍾乳洞は,ほかに景清穴が佐山に,大正洞は犬ケ森谷に,中尾洞は台北西部の青景にそれぞれ開口している。いずれも国の天然記念物に指定された。照明設備のない中尾洞以外は多くの観光客が訪れる。台上には昭和45年に秋吉台有料道路が開通し,観光諸施設・青少年宿泊研修施設・科学博物館・牧場などがある。また美東町赤郷地区にはサファリランドも営業している。毎年2月最後の日曜日には山焼きが行われる。年間の観光客約200万人。秋吉台は日本列島の誕生を考えるうえで学術的にも貴重なフィールドであり,利用とともに積極的な自然保護が必要である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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