100辞書・辞典一括検索

JLogos

16

大海塩田
【おおみえんでん】


吉敷(よしき)郡秋穂(あいお)町東の大海地区の内浜海岸に所在した塩田。佐波川河口の干潟の広く発達した大海湾西岸に位置する。慶長15年検地帳に塩浜方30石2斗とあり,江戸初期すでに製塩が行われていた。「地下上申」に塩浜方49石余とある。明和5年,大海村の給領主粟屋氏が青江村を本藩に上地したかわりに知行所内の海岸干潟を開拓する傍示物切開作として藩へ願出,大海湾内約16町歩の干拓を計画。文政2年10枚分の塩浜を築き立てることで着手し,潮止めはできたが,しばしば高潮の被害によって完成が遅れ,同9年に塩浜10軒分のうち3軒分が開かれたにすぎなかった(秋穂町史)。明治6年地券交付時には塩浜数8枚,14町歩であったが,その後1番浜と2番浜が合併し,同30年の防長塩田之図によれば,2番から8番までの7軒の塩田が成立していた。昭和18年秋穂塩業組合の1つとなり,当時の塩田面積7ha。同34年の第3次整理で廃止された。現在は工場用地。大海集落の北端の大河内には製塩土器として知られる美濃ケ浜式土器の3類形式のものを出土する遺跡があり,古代製塩遺跡群の1つ。塩田跡地の西側には,古塩田に関連する浜田一番・浜田二番・内浜一番・内浜二番・内浜田・下浜田などの字名がある(生産遺跡分布調査報告製塩)。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7192192