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関門橋
【かんもんきょう】


本州・九州間の関門海峡の東口,海峡最狭部の早鞆(はやとも)の瀬戸に架かる,日本道路公団の有料自動車専用吊橋。中国自動車道の終点下関市と,九州自動車道の起点北九州市とを結ぶ,延長9kmの関門自動車道の一部。本州と九州を結ぶ夢のかけ橋構想は,明治29年に福岡市で開かれた全国商工会議所連合会での決議が最初である。その後,関門海峡には工費と国防上の観点から,橋よりもまず関門鉄道トンネルの完成が優先され,昭和17年11月に下り線,同19年8月に上り線が開通した。続いて関門国道トンネルが同33年に開通したが,2車線である同トンネルの激増する自動車交通量を緩和するため,関門橋が計画された。昭和38年に下関市自治会関門架橋促進連盟が,同39年11月に関門橋建設促進期成会が発足し,関門架橋促進運動が展開され,同40年12月に建設が決定した。昭和43年6月起工,同48年11月に開通した。総工費160億円。なお,同50年には新幹線専用の新関門トンネルが開通しており,関門海峡は,海上・海底・陸上(橋)の三重の立体交通構造をもつ,世界でも他に例がない海峡となった。関門橋は全長1,068mで,完成当時は東洋一,世界第10位で,本四架橋につながる日本長大橋建設の先駆的役割を果たし,東洋一の座は昭和58年12月因島大橋に渡した。橋塔の高さは海面上141m,中央径間712m,桁下の高さは平均満潮位海面上61mで,大型船も楽に航行できる。吊橋を支えるケーブルの直径66.4cm,ケーブル1本あたりのワイヤーの本数1万4,014本,ワイヤーの総延長3万2,500km,総鋼重量3万tで,世界一の耐風耐震構造である。グリーングレー色の橋のメインロープには,202灯の白色灯が平均11mごとにつけられ,夜間の照明は美しく,火の山公園から橋と海峡を眺める夜景は「百万ドルの夜景」といわれる。また,橋上からの下関市・北九州市の夜景もすばらしい。橋から西側眼下に巌流島・彦島・下関港・門司港など関門海峡のほぼ全景が,東側眼下に源平古戦場の壇ノ浦海域,伝説の島満珠・干珠,門司田野浦海岸,長府串崎・埴生(はぶ)・小野田と周防灘西端北岸が展望でき,橋の両端下関側の壇の浦パーキングエリア,門司側の和布刈(めかり)パーキングエリアからも橋と海峡の展望を楽しむことができる。昭和62年度の交通量は上り340万1,354台,下り349万692台の計689万2,046台で,関門国道トンネルの上り503万6,364台,下り498万7,742台の計1,002万4,106台より少ない。橋は下り,トンネルは上りの通行量が多い。通行料金は普通自動車で橋が300円,トンネルが150円である(昭和63年現在)。なお,関門橋が開通する前年の昭和47年度の関門国道トンネルの交通量は,年780万2,266台,1日あたり2万1,000台であった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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