100辞書・辞典一括検索

JLogos

12

北長門海岸国定公園
【きたながとかいがんこくていこうえん】


萩市・長門市,阿武(あぶ)郡阿武町・須佐町・田万川(たまがわ)町,大津郡日置(へき)町・三隅(みすみ)町・油谷(ゆや)町にまたがり,県北部の日本海沿岸約90kmに及ぶ国定公園。昭和30年11月1日国定公園に指定された。面積は8,021haで,開発等に規制がある特別地域7,713haと普通地域308haに分けられる。地殻の隆起・沈降・断層・火山噴火等によって形成された海岸線と海食地形が見事な自然景観をみせる。須佐湾は昭和3年に国の名勝および天然記念物の指定を受け,おぼれ谷の湾内はさらに7つの小湾に分かれ,その中に多数の小島が分布し,江戸期から保護された松林はよく茂り,松島や九十九島の景観にも似た風光明媚な地域である。須佐湾の東岸にそびえる高山(こうやま)(532.8m)は,登山道が整備され,山頂からの展望は絶景。山頂付近に磁性を持つ石英斑岩が露出し,磁針方位を狂わせる磁石岩として昭和11年に国の天然記念物に指定された。高山の北麓にはホルンフェルス大断層がある。露出断層の海食断崖で,第三紀層の砂岩・頁岩の互層が熱作用によりホルンフェルス化したもの。濃藍色と淡灰色が交互に縞模様をなし,高さ約40m,長さ約100mにわたる雄大な断崖を形成。近くは磯釣りの好適地として知られる。萩市の海岸部には笠山(112.2m)・狐島・中ノ台・鶴江台が突端をなす。いずれも溶岩が噴出して形成された台地で,日本海の沿岸流によって堆積した砂州により陸繋島になっている。笠山はアスピーテ型の火山が形成され,その後の噴火でトロイデ型の玄武岩が供え餅のように乗った複合火山で,直径30mの火口を有する。ツバキの原生林,コウライタチバナの自生地として知られる。笠山と本土を結ぶ陸続きのところに明神池がある。岩の隙間を通じて海水が出入りする塩水湖で,池の中には磯付魚が生息している。青海(おうみ)島は周囲約28km。日本海の荒波による海食崖や海食洞が形成され,海上アルプスの異名を持つ。絶壁・奇岩・岩礁・洞門を眺めて島を一周する海上からの遊覧コースは多くの観光客を集める。昭和40年に青海島と本土とを結ぶ青海大橋が完成した。青海島の紫津浦(しつら)では観光を兼ねたタイ・ハマチの養殖が行われている。日置町の海岸には今岬・竜宮・千畳敷等の景勝地がある。油谷町東端の海岸には,岩礁穴から押し込められた潮が吹き上げる国の天然記念物および名勝の竜宮の潮吹きがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7192587