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吉部鉱山
【きべこうざん】


厚狭(あさ)郡楠町吉部地区の田ノ小野に所在した磁鉄鉱山。鉱床はスカルン型で,形態はレンズ状。坑道は田ノ小野集落の北麓に,本坑であった金山坑(総延長約600m)がある。昭和期に断続的に稼行され,最後の経営は防長鉱業から受け継いだ吉部鉱業で,昭和53年まで行われた。閉山直前の産出量は,精鉱(Fe50%)で月産約500t,島根県の日立金属安来工場にトラック輸送されていた。沿革は不明だが,昭和期の坑道の上部に相当古い露天掘りの穴があり,近くからからみ(鉱滓)が出ることや,この地区の水田の各所からも明治初期にからみが出ていたという口碑などから推して,江戸期までさかのぼれそうである。なお吉部地区には,ほかに磁鉄鉱山として宝部鉱山・宝山鉱山があった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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