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喜和田鉱山
【きわだこうざん】


岩国市二鹿に所在するタングステン鉱山。標高280mの山腹に,昭和51年開坑し現在採掘中の長栄坑の坑口がある。そこより一段高所に,昭和30年代の中心坑だった大切坑,さらにその上部に,大正期の東大正坑などがある。地質は秩父古生層(玖珂層群)の粘板岩・チャート・砂岩・石灰岩からなる。これに花崗閃緑岩などの貫入がみられる。鉱床は石灰岩を交代したスカルン型タングステン鉱床,一部含タングステン石英脈からなる。鉱石は灰重石(タングステン)・錫石・磁硫鉄鉱・閃亜鉛鉱・方鉛鉱。沿革は,寛文9年に発見され,同11年に山開きしたと伝える二鹿銅山にまでさかのぼることができる。しかし,現在の鉱山のもとは,明治42年に廃石の中に,タングステン鉱が多量に含まれていることが発見され,同44年から粟村鉱業所が採掘・採集を開始したことによる。産出鉱石は軍需用として,ほとんどがドイツに輸出された。当初はドイツから鉱山技師も入山して指導にあたった。第1次大戦後は需要減となり,大正9年休山。その後再開・休山を繰り返し,昭和43年再開,現在に至る。同57年には鉱業権などを粟村鉱業所から譲り受けて喜和田鉱山と改称。採掘された灰重石は500mの索道で貯鉱場に降ろし,近くの玖珂鉱山(美川町)と島根県の都茂鉱山に運び選鉱している。




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「角川日本地名大辞典」
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