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特牛港
【こっといこう】


豊浦郡豊北(ほうぼく)町神田字特牛にある地方港。響灘に面し,西長門海岸の典型的な溺れ谷に立地する天然の良港。湾口から湾奥までの東西約600m,幅は南北に250m前後,湾央部の水深は70m以上。古くは特牛浦・特牛湊といわれ,「日本水路誌」は,「特牛浦は岩礁ありて浦口を阻し,入進に注意を要するも,湾内水深三米以上,泥底にして錨掻きよく,且四方の風波を防ぎ浦口の平瀬はよく濤勢を殺ぐを以て,水路に熟せざる二百石以下の和船は安泊するを得べし」と記す。幕末から明治期にかけて急激に発展した港で,一般商港の性格を帯び,風待ち港としても船の出入りが多かった。慶応3年の入港船数は,網屋松右衛門客船帳で105隻以上,仙崎屋豊太郎の自他国廻船客帳で287隻以上。明治5年の湯女人別証書任出控によると,特牛湊には茶屋2軒,遊女22人,置屋2軒とある。昭和60年の海上出入貨物集計表では,総量2万8,761t,うち移出量が88.2%で砂利・砂の移出が8割以上を占める。漁港としては,年間漁獲高約14t・漁獲額1,765万円,ブリ・サザエ・イカが多い(特牛漁業協同組合資料)。海士ケ瀬戸を隔てて響灘に浮かぶ角島への渡船の発着場でもあり,釣り客も多い。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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