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東行庵
【とうぎょうあん】


下関市吉田にある寺。曹洞宗。山号は清水山。本尊は白衣観音。慶応3年4月14日尊攘討幕の志士高杉晋作は新地町の林算九郎邸で死去し,奇兵隊本陣のあった吉田村の清水山に葬られた。愛人おうのは赤間関裏町の堺屋で芸妓をしていたが,晋作の死後,仏門に入り梅処尼となってその墓守りをつとめた。はじめは山県有朋が住んでいた同村の無隣庵をあてたが,明治14年から旧藩主毛利元徳はじめ山県有朋・伊藤博文・井上馨・木戸孝允らからの寄附金1,549円によって無隣庵の隣接地に庵の建築にかかり同17年に完工。晋作の号の東行にちなんで東行庵と名付けられた。また明治8年梅処尼は上京して井上馨に生活が立ちにくい旨を訴えた。井上は木戸孝允・伊藤博文・山県有朋と協議し,趣意書を作って寄附を募った。その額は750円に達し梅処尼の生活の安定がはかられた。当庵には晋作の遺品・遺墨をはじめ明治維新関係資料が多く所蔵され,百回忌にあたる昭和41年に建設された東行記念館に展示されている。清水山には晋作の墓(国史跡)のほか,奇兵隊参謀福田侠平・高杉家・梅処尼などの墓がある。また伊藤博文撰文の高杉晋作顕彰碑,山県有朋撰文の福田侠平顕彰碑がある。毎年4月14日には墓前で東行忌が行われる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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