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十種ケ峰
【とくさがみね】


「とくさがみ」ともいう。阿武(あぶ)郡阿東(あとう)町徳佐地区と島根県津和野町との境に位置する山。標高989.2m。山頂から南東側に古生層の頁岩が露出するが,ほかはほとんど中生代の流紋岩質凝灰岩からなる。長門(ながと)山地の東端にあたる大起伏の孤立峰で,長門富士とも呼ばれる。山容ははなはだ不整形で,北西斜面には標高550~650mと750~900mの2段にわたって広い緩斜面をもち,東・南斜面は崩壊地を伴う急斜面で鋭い山稜線をつくる。見る場所によって異なる山形を示し,西北方の阿武郡各地や日本海からは一段と高い高原状のおだやかな山容を呈し,南麓の徳佐盆地からは鋭い尖峰となって見える。山頂部を中心として全面ササに覆われ,眺望はきわめてよく,古来名峰として親しまれてきた。「注進案」では「徳佐ケ峰」とみえ,阿武郡「第一の高山」とし,徳佐側から見た山容を「嶺上尖り樹木なし」と記している。山名由来について,同書は「昔天大神之子御食主命,自将来十種神財埋此山,誓之曰,此山万歳不可生樹木也,仍名此山号十種峰,今云徳佐上也」と述べている。中腹から山頂へかけては,大規模なチマキザサの群落が発達し,クロマツも自生しており,植物分布の上でも注目されている。また,北斜面の中腹590mの所には県十種ケ峰青少年野外活動センター・同キャンプ場があり,付近は十種ケ峰スキー場としても知られ,阿東町嘉年下の市場から車道が通じる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7193739