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深溝湊
【ふかみぞみなと】


山口市深溝,椹野(ふしの)川が流入する山口湾西岸に位置した港。中世の海岸線は現在よりも深く入り込んで山陽道に近く,大内氏の拠点山口をひかえ,室町・戦国期は瀬戸内海の貿易港として知られた。大内氏は対朝鮮貿易を行い,また遣明船を出した。応仁2年,室町期の遣明使節・勘合船に関する記録「入明諸要例」の「戊子入明員件」に3隻の巨船のほか,深溝熊野丸(600石)の記載があり,深溝港は当時大陸貿易に適した大型船が入港できるほどの港であったことがわかる。しかし,その後の自然条件の変化に伴い,次第に土砂の堆積で遠浅となり,近世には延宝2年の犬渡開作をはじめ,住吉・寄江・北ノ江・深溝の諸開作が築かれて海岸線は前進して耕地化し,かつての港の機能は消滅した。なお,現在山口市江崎字相原には第1種漁港の相原漁港がある。今津川河口に位置する漁港で,採貝業中心の漁業を営む。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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