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御庄の渡し
【みしょうのわたし】


旧山陽道における錦川渡河の渡し。旧山陽道は,周防国の入口にあたる小瀬の渡しから南西に小瀬峠を越えて関戸宿で錦川に出るが,ここでは渡河せず,錦川左岸の多田村古市を経て,本庄八幡宮のあたりから錦川を渡河して御庄に入った。この渡しの位置は,元来はほぼ現在の御庄大橋の位置であったが,洪水による御庄市の移転や,河流変動による渡河条件の変化などのため,その後やや上流の現在の新幹線橋梁の上流側に移動したようである。御庄市は,寛文6年の洪水で錦川およびその支流の河床が高くなって水害が常襲化したため,道筋を西方の山根に迂回させ,その山寄り片方に片側町を延宝4年完成させている。この渡しは,周防国大道小道并灘道舟路之帳に徒歩渡りの所は常水で広さ100間・深さ2尺,船渡しの所は広さ50間・深さ4尺とあり,小瀬の徒歩渡りの26間よりも河幅がはるかに広く,防長山陽道では最大の渡しであった。なお,錦帯橋見物など岩国城下を通るには,御庄の渡しを通らず,関戸宿から左に折れ錦川左岸を通って城下に入る石州街道と,さらに錦見町札場から川西で渡河し道祖峠を越えて西氏(西宇治)で山陽道に接する岩国道があった。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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