蓮華鉱山
【れんげこうざん】

玖珂(くが)郡玖珂町の谷津石ノ迫に所在したマンガン鉱山。蓮華山の南南東山麓（標高約150m）に廃坑が存在する。玖珂扇状地を形成した水無川の枝谷に沿って上り，石ノ迫集落の最奥の民家から100m山道を入った所に飯場２棟の跡，さらに100m余上ると右手に最初のずり（廃石）山と坑口，選鉱場の跡がある。そこより少し上部に第２のずり山と坑口，その奥に３つ目の坑口が確認できる。なお，谷を隔てて反対側の山腹には，昔銅を採掘した坑道がいくつかある。鉱床は湾曲した太いレンズ状ないし塊状をなし，肥大部は幅４ｍにも達していたという。産出鉱物は，黒色硬マンガン鉱・ばら輝石・黄鉄鉱・磁硫鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱など。マンガン鉱山としての開発時期は不明だが，昭和17年の「玖珂町誌」にマンガンは採掘されているが，量は多くないとあり，第２次大戦前から行われていたことがわかる。戦後は昭和21年から同36年まで越智善太郎・勇父子によって稼行された。鉱山は４ｔトラックで数日ごとまとめて玖珂駅に運ばれ，北九州市の八幡製鉄所の高炉用として貨車輸送されていた。従業員は坑夫・事務職員合わせて十数名の小規模経営であった。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7194953