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熊野神社
【くまのじんじゃ】


板野郡土成(どなり)町高尾字熊之庄にある神社。旧郷社。祭神は伊弉那美命・速玉男命・事解男命。古くは熊野権現と称し,高尾・引野・西条・和泉谷・鍛冶屋原・神宅・七条などの村々の氏神であった(寛保神社帳/続徴古雑抄1)。町を北から南へ流れる宮川内谷川が作る扇状地のはずれに位置する。付近には丸山古墳・十楽寺古墳などがあり,早くから開けていた。創建年代は未詳。氏子区域は南北朝期には日置荘と呼ばれる天皇領であったが,天授5年に後亀山天皇が祈祷のため紀伊の熊野新宮(熊野速玉大社)に寄進した。そのため荘内には現在の上板町七条に本宮,吉野町五条に新宮,同町西条に那智といった熊野の分霊が各地で祀られ,領民氏子の尊崇を集めたという。その後永禄3年に七条・五条・西条の各城主が吉野川・宮川内谷川の水害を避けるためにこれらの社を合祀したと伝える。寛保神社帳には「阿波志」の説として七条城主七条兼仲の創祀とある(続徴古雑抄1)。また「高尾村 熊野庄権現 高尾村山伏愛染院・玄了院 引野村山伏善光院・快行院・覚善院・正覚院」とみえるが(同前),これらの山伏は熊野参詣の先達であろうか。明治5年熊野神社と改称し郷社に列した。例祭は10月18日で角力神事が行われる。明治末期までは応仁元年2月3日銘の藤原相依奉納の円鏡1面があったという。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7195913