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轟神社
【とどろきじんじゃ】


海部郡海南町平井字王余魚谷(かれいだに)にある神社。旧村社。祭神は水波女命・国狭土命・大山祇命。「かれいだきさん」「とどろきさん」とも呼ばれる。海部川上流の山間部に位置し,北側に轟ノ滝がある。中部山渓県立自然公園に属する轟ノ滝は俗に轟九十九滝とも呼ばれる無数の滝の総称で,本滝は王余魚滝と称する。天正19年11月13日の創建と伝える。文化4年に14世吉祥院了歓が徳島藩に提出した轟大明神由緒記によると,往古南海の竜女が当地の王余魚滝と紀伊国熊野の那智滝のうち当地を選んで住処とし,降雨出水を司るようになったという(修験道史料集2)。その後寛文年間に大越家4世吉祥院興栄がこの地にこもり轟ノ滝に祈願して数々の霊験を得たことにより,この滝を神霊のいるところとして奉祀したもので,もとは社殿も滝近くに創建されていたが,大洪水で流失し,のちに安全な現在地に再建した。「海部取調廻在録」には「轟大明神,熊野奈知明神と同体と伝ふ」と録し,轟滝略図として下滝・轟本滝・上滝など轟九十九滝の絵図が記されている。また「阿波志」には「轟祠,平井村王余魚谷。瀑布の側にあり。即ち竜祠,王余魚滝明神と称す。杉樹青蒼,村民至りて雨を乞ふ。嘗て大火起り,息まざること三日三夜,就て雨を乞ふ。雨俄に至り,火乃ち滅す」とあり,竜神としての霊験を伝えている。寛保神社帳は「平井村 轟大明神〈紀州熊野明神同体と伝ふ〉神主細野村惣大夫」と記す(続徴古雑抄1)。明治3年轟神社と改めその後村社に列した。例祭は11月13日でこの日に行われる荒神輿の大滝壺入りは豪快な奇祭として全国的に有名である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7196708