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中王子神社
【なかおうじじんじゃ】


名西(みようざい)郡石井町石井字清成にある神社。旧村社。祭神は伊弉諾命。養老7年の創建と伝えるが(名西郡誌),その後の様子は未詳。寛保神社帳には「石井村 中王子十二社大権現 別当石井村地福寺 神主同村吉兵衛」とみえる(続徴古雑抄1)。地福寺は大覚寺を本寺とする真言宗寺院であった(寛政3年阿波国古義真言宗本末帳/江戸幕府寺院本末帳集成)。当社では御神体として養老7年銘の墓碑を祀っている。塼状で中央部が長方形,上部と下部に方形の柄を備える。中央部は高さ28cm,幅13cm,厚さ9.5cmで正面に「阿波国造名方郡大領正七位下粟凡直弟臣墓」,側面に「養老七年歳次癸亥年立」の銘文を有す。粟凡直氏は大化前代の粟国造であるが,この銘文によると律令制下でも郡の大領や国造の地位に就いていたことがうかがわれる。また「続日本紀」延暦2年12月2日条には「阿波国人正六位上粟凡直豊穂……任国造」とあり,粟凡直氏は阿波国内の有力豪族であった。当社所蔵の墓誌は,奈良前期の全国的に数少ない貴重なもので,昭和54年に奈良県奈良市此瀬町の茶畑から出土した太安万侶墓誌と同年のものとして有名になった。例祭は11月3日。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7196752