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東山渓県立自然公園
【ひがしさんけいけんりつしぜんこうえん】


阿南市・勝浦郡勝浦町・徳島市・那賀郡鷲敷(わじき)町・名東(みようどう)郡佐那河内(さなごうち)村にまたがる県立自然公園。昭和42年1月1日指定。面積3,724ha。本県の山渓の東部と,市街地の一部を含め多彩な観光資源をもつ。阿南市には四国霊場八十八か所第21番札所太竜寺が標高602mの太竜山の山頂近くにあり,周辺は寺所有の山林で,樹齢数百年の巨杉が林立している。太竜寺は弘法大師とのかかわりが深く,大師の著で有名な「三教指帰」の中で,「阿国大滝岳踏攀」なる記述が登場するがこの大滝岳は太竜寺といわれている。勝浦町は山紫水明の地でミカンの産地。ここに名刹四国霊場八十八か所第20番札所鶴林寺があり,藩主蜂須賀家からも庇護を受けている。標高500mの頂上付近にあり,かつては難所といわれていたが現在は参道が整備されている。本尊は国重文である地蔵菩薩。徳島市は阿波一宮城址と丈六寺,中津峰山と八多ノ滝などがこの公園区域に入る。一宮城は一宮町西丁にある中世の城址である。小笠原長宗が延元3年に築城したもので,阿波の南朝の拠点であったが,現在は山頂部にわずかな遺構が見られるだけである。丈六町にある丈六寺は阿波の法隆寺ともいわれる古寺で,文正元年阿波細川氏の7代成之の再建といわれている。唐様の伽藍配置をもち,数百点にのぼる史料が所蔵されており寺宝館が設けられている。中津峰山は,徳島市と勝浦町にまたがり,標高773m。中腹には観音さんで知られる如意輪寺がある。また,八多町にある五滝は結晶片岩の露出した渓谷美に大滝・小滝が流れ込んでいる。本県第二の大河那賀川の下流地域に属する鷲敷町にある鷲敷ラインもこの公園内で,町内の細淵橋から田野潜水橋までの6kmは奇岩と急流が交互に現われる。徳円寺は名東郡佐那河内村の嵯峨川の上流にあり,シャクナゲで有名。文政7年徳円上人の開基といわれ,阿弥陀如来を本尊としている。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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