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牟岐線
【むぎせん】


日本国有鉄道線路名称の1つ。徳島駅(徳島市)と海部駅(海部町)を結ぶ。全長79.3km。駅数27。県東部の海岸線を走り,県都徳島と県南を結ぶ唯一の幹線で,利用客のほとんどは,徳島方面への通勤・通学客である。四国4県で高松駅(香川県)に次いで乗降客数の多い徳島駅で,吉野川沿いを東西に走る国鉄徳島本線,四国の玄関口高松駅とを結ぶ国鉄高徳本線に接続する。また,中田(ちゆうでん)(小松島市)駅で昭和60年3月13日を最後に廃線となった国鉄小松島線に接続していた。牟岐線は阿波国共同汽船が大正2年4月20日に徳島~小松島間11.1kmを開設し,現在の国鉄が借受けの形をとりながら営業を始め,同5年12月5日には阿南鉄道が中田~古庄(ふるしよう)(羽ノ浦町)間10.4kmを開通したのに始まる。大正6年阿波国共同汽船が,昭和11年7月1日には阿南鉄道が現在の国鉄に買収され,それぞれ小松島線・牟岐線となる。同年3月27日には羽ノ浦~桑野(阿南市)間が開通。その折,古庄駅を経由せずに羽ノ浦から阿波中島(那賀川町)を経て阿南に結ぶ方針がとられ,羽ノ浦~古庄間は昭和18年6月30日休止となり,同28年5月10日には貨物支線として復活したが,同36年3月31日廃止となった。昭和12年6月27日には桑野~阿波福井(阿南市)間が,同14年12月14日には阿波福井~日和佐(ひわさ)(日和佐町)間が,同17年7月1日には牟岐(牟岐町)までが開通した。昭和36年4月1日小松島線の徳島~中田間は牟岐線に編入され,当線は徳島~牟岐間となった。同45年3月31日にはSLさよなら運転が行われ,四国線内の無煙化が達成された。昭和48年10月1日牟岐~海部間11.6kmが開業し,全通した。沿線には阿波の松島といわれる橘湾,田井の浜・千羽海崖・八坂八浜・水床湾などの景勝地が多く,室戸阿南海岸国定公園に指定されている。なお,室戸(高知県)を経由して高知と結ぶ阿佐東線の予定線として海部郡宍喰(ししくい)町まで建設されたが,国鉄再建法のあおりを受け問題になっている。昭和47年の1日平均輸送人員は3万5,352人。貨物年間輸送t数は5万4,000t(昭和58年)である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7197522