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撫養
【むや】


旧国名:阿波

撫養川・新池川下流の河口部に位置し,古くは島であったものと思われる。地名については,港に船をつなぐ意の「もやい」の転訛とする説が有力であるが,南海道の水駅として設けられた室屋の転訛とする説もある。なお牟夜戸(むやのと)は小鳴門海峡のこととされている。当地の特産である撫養蛤については,寿永元年の「月詣和歌集」に収められた源宗光娘の「便りあらはむやのはまくりふみみせよ遥なるとの浦に住むとも」をはじめとして多くの歌が詠まれている(鳴門市史)。また江戸初期の「和漢三才図会」にも「阿波国 土産 蛤蜊〈出於撫養,以作碁子〉」とあり,古くから貝合せや香合や碁石の材料に用いられた。なお当地域一帯では古くから塩業が盛んで,江戸期には入浜式塩田が見られ,良質な斎田塩を産して,徳島藩の重要な収入源となった。
牟夜(古代)】 奈良期から見える地名。
撫養(中世)】 室町期~戦国期に見える地名。
撫養郷(近世)】 江戸期の郷名。
撫養町(近代)】 明治22年~昭和22年の板野郡の自治体名。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7197526