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室戸阿南海岸国定公園
【むろとあなんかいがんこくていこうえん】


徳島県・高知県にまたがる国定公園。昭和39年6月1日指定。陸地面積7,216ha,本県側は57.1%に当たる4,122ha。公園域は,北は本県の橘湾から海岸線を南下し,高知県の室戸岬を回って羽根岬まで200km続く。地形的にみると橘湾は島々と入江が美しい典型的なリアス式海岸で,湾の南にある四国東端の蒲生田岬以南は,黒潮が直接磯を洗う雄大な景観となる。一部は断層海岸と考えられ海崖が続き,特に200mの断崖が2kmも続く千羽海崖は,代表的な景観である。黒潮が沿岸を通るので全域を通じて気候は温暖で,平均気温は16℃を下らず無霜地帯も珍しくない。このためこの地域では動植物も特異なものが多い。海部郡日和佐(ひわさ)町の大浜海岸に産卵のため上陸してくるアカウミガメ,同郡牟岐(むぎ)町大島や宍喰(ししくい)町水床湾のシコロサンゴ・ミドクイシ・キクメイシなどは有名。そのほかアワビ・サザエ・イセエビなどの磯物も豊富である。植物としては室戸岬のアコウ林はよく知られているが,牟岐町の出羽島・大島でも自生しており,出羽島のハマユウは名物。また千羽海崖ではクロマツ・ウバメガシ・ヤマモモなどが自生する。この国定公園は,こうした地形や風土の関係で海洋性観光資源を中心に多様な資源に恵まれている。北から主なものをあげていくと阿南市では標高284mで阿波三峰に数えられる津峰山,西日本一といわれる海水浴場北の脇,阿波水軍と町並みで知られる椿泊,ウミガメも上陸する蒲生田岬などがある。海部郡由岐(ゆき)町では明神山と青少年旅行村,海女で知られる阿部,国鉄の臨時停車駅のある田井の浜,日和佐町では大浜海岸・千羽海崖などのほかに四国霊場八十八か所第23番札所で厄除の薬王寺や南阿波サンラインなどもある。牟岐町は出羽島・大島,海南町は鯖大師と南阿波ピクニック公園,海部町は母川と大里松原,宍喰町は水床湾と竹ケ島などである。そのほか国民宿含・民宿なども多く,海賊料理・サーフィン・磯釣りなどが楽しめる。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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