鴨神社
【かもじんじゃ】

坂出(さかいで)市加茂町にある神社。旧村社。祭神は別雷命。葵さんと称される。創祀は定かでないが，社伝では天平４年行基が聖武天皇の命で国分寺・国分尼寺を建立しようと当地に来た際，綾川下流で水害が多いのをみて，国司藤原景隆に勧めて賀茂別雷神を勧請したという。景隆は史料で確認できないが，当地宮武氏の祖という。「三代実録」貞観７年10月９日条で「讃岐国賀茂神」が従五位上に列し，同17年５月27日には「賀茂天神」が正五位下に昇叙している。また「延喜式」神名帳阿野(あや)郡条にも「鴨神社」と見える。これらが当社に比定されうるか否かについては，付近にも鴨神社（通称葛城さん）があり，確定できない。「全讃史」「三代物語」「生駒記」は当社を式内社としている。長暦３年入江民部景輝（宮武氏旧姓）再興，天正12年・慶長６年・同12年の再修築を経て，元禄５年宮武景秀が再建する（棟札）。鴨・氏部２郷の氏神とされ，年中五度祭という，国司が赴任の折国中の官社を当社に合祀して神供37膳（古くは75膳）を供える特殊神事を伝える。別当は甲智寺であったが，応永年間以降衰退し，供僧鴨箭院のみが残り近世の別当を務めたといわれる。明治５年村社に列格。

KADOKAWA 「角川日本地名大辞典」 JLogosID : 7198253