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楠尾神社
【くすおじんじゃ】


綾歌郡国分寺町新居にある神社。旧郷社。祭神は玉依姫命・足仲彦天皇・誉田天皇・気長足姫命。古くは楠尾八幡宮と称した。当地は讃岐国府に近く古墳も多いことから,早くから開けた地と考えられる。社伝によれば,忌部日下大人が玉依姫命を祀ったのが創祀で,社地に楠樹があったので当初は楠尾大神と称した。その後欽明朝に霊異があったので楠尾八幡宮と称し,新居郷の産土神としたという。「讃岐国名勝図会」もほぼ同様の伝承を記す。このように当社は忌部氏による創祀伝承をもつが,当地における忌部氏の存在を具体的に知るものはなく,詳細は未詳。天文年間兵火で焼失したが,その後再興。天正年間初期までは大社で社領も380石あり,付近の倉内・宝庫・散楽田等の小名は当時の名残といわれる。天正13年土佐の軍勢乱入に備えて神宝等は背後の地へ埋め置いたが,社殿はすべて焼失した(讃岐国名勝図会)。この時社殿を東面から南面に改めたという。その後次第に荒廃し,高松藩主松平氏の再興にもかかわらず,昔の姿には復せなかった(全讃史)。明治維新後郷社に列格。明治23年には裏の丘の頂上部から発見された経筒は,平安末期~鎌倉初期のもので,7個の青銅製経筒・陶製筒・古鏡・古刀などが集中して出土した。丘上の塚は削平のため消滅したが,当地の古代末期の信仰を知る上での貴重な史料である。例祭は5月15日・10月10日。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7198400