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天満神社
【てんまじんじゃ】


綾歌郡綾南(りようなん)町滝宮にある神社。旧県社。祭神は菅原道真。相殿に吉祥姫などを祀る。滝宮天満宮として親しまれる。社伝によれば,天暦2年竜灯院綾川寺(現大照寺)の住僧空澄が提唱して,現在の境内地にあたる菅原道真の館跡に祠を建て,道真遺品の装束と自画像を祀ったという。道真は仁和2年に讃岐守として着任し,善政の国司として名を残している。しばしば国内巡視をし,親しく民衆の生活に接した政治を心がけていた様子は「菅家文草」に詳しく見える。特に仁和4年の大旱魃時に国府近くの城山神(城山神社,坂出市府中町)に祭文を捧げ,七日七夜降雨を祈ったことは有名である。大雨に歓喜した農民たちは,国府近くを流れる綾川の上流滝宮にあった道真の館前に集まり,心をこめて踊ったという。これがのちに法然が念仏の振り付けをしたと伝える滝宮念仏踊りの始まりである。はじめは当社と隣接する滝宮神社(和銅2年の創祀で当地の産土神,八坂神社・牛頭天王社と称した)へ奉納していたが,のちに当社でも踊るようになったという。江戸期から毎年8月25日に「なむあみだぶつ」の独特の節に合わせて踊り続けており,国の重要無形民俗文化財に指定されている。その様子は「讃岐国名勝図会」に挿図として記される。南北朝期の康暦年間,守護細川頼之は社頭を整備し,祭祀料として米200石を寄進した(讃岐国名勝図会)。慶長年間にも生駒一正が再興し,社領27石余を寄進している(寺社記/新編香川叢書)。寛永17年生駒高俊改易時の讃岐国中寺社領高書上写にも「高弐拾七石 滝之宮」と見え,社領は生駒氏時代を通じて一定だった(覚城院文書/新編香川叢書)。高松藩主松平頼重も当社を崇敬し,3か条の念仏踊り保護の高札を出している(讃岐国名勝図会)。本来は滝宮神社の西方にあったが,寛政年間にその境内に遷座(全讃史)。文政5年に国中崇敬者と大坂講中が社殿の造営をしたと伝える。別当は真言宗の竜灯院綾川寺で,恵心僧都作の五智如来を本尊としていた(讃岐国名勝図会)。明治9年県社に列格。これ以前,明治6年の西讃竹槍騒動で竜灯院に放火された際焼失し,同21年再建された。8月25日には念仏踊りが,例祭の4月24・25日にはうそかえ祭がある。なお竜灯院は明治6年の焼失後,同15年その境内に小堂を建造。戦後寺号を認証され,現在浄土真宗本願寺派で渓雲山法灯院大照寺と号している。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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