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石風呂
【いしぶろ】


今治(いまばり)市南東部の桜井海岸にある石風呂。石風呂とは岩肌をくり抜いた洞穴の中で柴草を燃やし,上から海水をかけて熱気と蒸気の中で汗を流す古くからの民間療法。市内だけでも7か所あったが現在は2か所。国立公園桜井海岸の一画に突出する虎ケ鼻の岩をくり抜いて高さ2.5m,奥行7.2m,間口3.3mの洞穴がある。開設は不明であるが,「法華寺由来記」によると国分尼寺開基の尼証爾が,海岸の洞穴を風呂とし,病苦に悩む民衆を救ったとある。しかし当石風呂を有名にしたのは天和元年に入浴して病を治療した南明禅師の事績で,傍らの文化7年11月,中川安世済美撰文の石風呂碑に詳しい。岩上石段の上には薬師如来を祀るが,堂宇は寛政7年の再建である。開設は7月上旬から9月中旬の約2か月間で,近年は民俗資料としても注目されている。年間利用客は約10万人,宿泊施設の「もと小屋」には明治初期に建てられたものもある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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