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伊曽乃神社
【いそのじんじゃ】


西条市中野にある神社。加茂川西岸の台地上に鎮座。祭神は天照大神・武国凝別命(伊曽乃神社社記)。武国凝別命は景行天皇の皇子で伊予御村別の始祖といわれる。聖武天皇の時代に創建したと伝えられる。奈良期に神野郡(のち新居郡)に賀茂氏がおり,境内郷と思われる賀茂郷が平安期に見えることから,賀茂氏が祀った神社と推測されている。神階は天平神護2年従四位下,貞観8年正四位下,同12年正四位上,同17年従三位,天慶3年正二位(長寛勘文)を授けられ,社伝では永治元年に正一位となったと伝えられる。「延喜式」では名神大社に列せられた。当社の神封は天平神護元年封戸10烟,翌2年神戸5烟が加えられた(続日本紀)。天正年間の戦乱に兵火を避けて一時土佐の寺川村に移ったが,慶長11年旧地に帰座した。西条藩主松平頼純をはじめ歴代藩主の保護を受けた。明治4年県社と定められたが,昭和15年国幣中社に昇格した。神明造の社殿は昭和16年の再建で総檜の立派なものである。また4万m(^2)に及ぶ広大な神苑には,樹齢500年といわれる大樟をはじめ巨木が茂り,見事な照葉樹林の社叢を形成している。秋の大祭は西条祭と称され,毎年10月15・16の両日行われる。この祭の起源は明らかではないが,歴代藩主の支持もあって次第に盛大となった。社宝には国の重要文化財の与州新居系図があり,これは新居氏出身(高槍氏)で東大寺戒壇院の僧凝念が弘安4年消息文の紙背に書いたもの。「和気系図」(滋賀県園城寺蔵,国宝)および「海部系図」(丹後一之宮籠神社蔵,国宝)とともに,日本三大古系図と呼ばれる新居氏一族研究に重要な資料である。そのほか,明治初年大洲出身の勤王家矢野玄道自筆の2,000冊の蔵書や,元禄期に描かれたといわれる西条祭大絵巻(幅30cm,長さ27m)などがある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7200305