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市之川鉱山
【いちのかわこうざん】


西条市南部の市之川にあった鉱山。アンチモニーを産した。「続日本紀」によると文徳天皇の2年伊予国から白(しろめ)(アンチモニー)を朝廷に献上したとあり,市之川で産したものといわれる。延宝7年曽我部親信の開墾地で発見され,採掘者が転々としたあと天保12年領主小松藩の稼行に移り,維新後は石鉄県に引き継がれた。明治8年イギリス人フレッシ・ウィルが政府の命を受けて大生院(おおじよういん)のアンチモニー鉱調査のため来山し,市之川近傍一帯の丸野・保野などの地域にまで試掘願いが出された。同26年6月市之川鉱山株式会社となり,西条の本陣川河口に製錬所を建設した。しかしアンチモニー鉱山の経営は変動が大きく,採鉱・休鉱を繰り返し,昭和32年5月閉山した。明治・大正期の最盛期には2,000戸の住宅・商店が並ぶにぎわいであった。市之川鉱山から産出した輝安鉱(硫化アンチモン)は世界に類例のない巨大な結晶で,大きいものは柱状結晶の径10cm・長さ60cmを超えるものがある。これらの美晶はほとんど海外に流出し各国の大学・博物館に収められている。しかし国内には乏しく,西条市明屋敷(あけやしき)の市立郷土博物館に田中大祐氏が寄贈した高さ60cmの結晶は貴重な標本である。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
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