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伊予豆比古命神社
【いよずひこのみことじんじゃ】


松山市居相(いあい)町にある神社。境内は自然の岡をなし,これを船山とも椿ノ森とも呼んだ。式内社。祭神は伊予豆比古命。この神は伊予国を統治する神の意で,この神を伊予御村別の祖である武国凝別命とも,伊予国造の先祖である速後上命とも,久米国造の先祖伊予主命ともする説がある。「続日本紀」天平神護2年の条に「久米郡伊予神授従五位下,充神戸二烟」,「三代実録」の貞観4年の条に「授伊予国従五位下伊予神従四位下」,同8年の条に「伊予国伊予村神授正四位下」,同12年の条に「授伊予国正四位下伊予村神正四位上」とある。「続日本紀」の久米郡伊予神を正しいとするならば,「三代実録」の記述も同じ神を指したと考えられ,この神を奉祀したのは久米郡居相の伊予豆比古命神社であると推定される。この社を祭祀したのは,この地域に勢力を持った久米氏一族であったと思われる。当社では旧正月7日に椿祭として親しまれる盛大な祭礼があり,縁起の神として信仰が篤く,西日本全域からの参詣者が多い。祭礼のなかで注目される真床覆衾の神事では,同社の神輿が3km離れた南土居の御旅所に赴き,同時に南久米の日尾八幡神社の神輿も同所へ着き,その夜2体を並べて安置し,翌日おのおのの社に帰座する慣習がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7200377