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四国カルスト県立自然公園
【しこくかるすとけんりつしぜんこうえん】


東宇和郡野村町,上浮穴(かみうけな)郡柳谷(やなだに)村・小田町・美川村・久万(くま)町にまたがる県立自然公園。昭和39年3月21日指定,面積5,360ha。四国山地中部の山岳地帯にあり,山岳と峡谷の美観を誇る。公園は野村町から柳谷村にかけて広がる四国カルストの高原,小田町の小田深山渓谷,柳谷村の柳谷キャニオン,小田町・柳谷村・美川村の3町村にまたがる大川嶺・笠取山,久万町から美川村にまたがる古岩屋・岩屋の5地区からなる。公園名は代表的景勝地四国カルストにちなむ。四国カルストは東から大野ケ原・姫鶴平(めづるだいら)・五段高原よりなり,標高1,100~1,450mに及ぶわが国最高位のカルスト地形であり,カッレンフェルト・ドリーネなどの石灰岩特有の地形がみられる。西は愛媛県東宇和郡野村町大野ケ原から,東は高知県高岡郡仁淀(によど)村鳥形山に至る予土境域の石灰岩の高原で,南北の幅は1~2km,長さは17kmにも達する。地質は石灰岩で,1,300~1,400mの源氏ケ駄場の平坦面と,小松・寺山の開拓集落をのせる1,100~1,200mの平坦面がある。前者にはカッレンフェルト,後者には300余のドリーネとハバーレがある。竜神を祀る小松ケ池はドリーネの1つである。日露戦争後の明治41~43年の間には陸軍の演習地となり,大正期には営林署の植林地,第2次大戦中は軍馬の放牧地となった。戦後は緊急開拓の候補地に選ばれ,昭和25年30戸の第1次入植者が入山し,同29年には70戸に達したが,同52年には29戸となっている。現在は酪農が中心であり,県下随一の大規模酪農が展開されている。四国カルストの中心地は地芳峠で,大野ケ原~地芳峠間にはブナの天然林も見られる。地芳峠の東側の愛媛県分には,姫鶴平の隆起準平原があり,石灰岩地形で標高は1,200~1,400mである。昭和48~53年の間に,国営草地開発事業によって81haの草地が造成され,柳谷村によって育成牧場として経営されている。五段高原は,上浮穴郡柳谷村大字西谷と高知県高岡郡檮原町・東津野村にまたがるカルスト高原で,標高1,200~1,400m。小田深山渓谷はカエデ・モミ・ツガなどの原始林に見どころがある。柳谷キャニオンには昭和27年国の特別天然記念物に指定された八釜の甌穴がある。大川嶺(1,525m)・笠取山(1,562m)は山頂部が隆起準平原の地形で山頂付近に美川スキー場もある。古岩屋と岩屋は古第三紀の礫岩層が浸食されて形成された岩峰群を持ち,昭和19年ともに国の名勝に指定された。岩屋には四国霊場八十八か所第45番札所の岩屋寺がある。




KADOKAWA
「角川日本地名大辞典」
JLogosID : 7201620